『21世紀世界の市民社会・利益団体ーアソシエーション「革命」後の15か国全比較(JIGS調査対象国)ー』
本巻のねらいやその過程は、序章や第1章で詳しく述べているので詳しくはそちらを参照していただきたい。ひとつだけ、ここで強調しておきたいのは、市民社会も利益団体も世界の政治学界では普通の、基本的な(あたりまえのように論じられる)概念でありながら、日本では後述のように政権の市民社会概念に対する忌避 もあり、そのようになっていない。この現状に対して、この分野を広く実証調査し、できるだけ客観的な事実として提示し、こうした現状を変えたいと考えている。そして日本の市民社会(と利益団体)を世界との比較の中で位置づけることが必要である。こうした着想が芽生えたのは、編者がピーター・カッツェンスタイン教授との共同研究(1995)のためアメリカに2年間の滞在した折であり、その後、スーザン・ファー教授(2003)やムタイヤ・アラガッパ教授(2004)による、比較の中で市民社会を捉えるワークショップへの参加でその意を強くした。それから四半世紀が過ぎて、ようやく、こうした形で宿題の一つを提出できたように思える。
本書は、JIGSプロジェクトの全貌を広く読者に伝えることを目的としてなされた比較市民社会・利益団体の研究である。四半世紀にまたがる15カ国の調査研究は、「各国で最大限包括的に市民社会・利益団体の世界を捉える」とのメインテーマのもと、多くの研究者、実務家の共同作業によって遂行された。後述のように、各国調査には完全に統一的なフレームで遂行されたと言い切れない部分があり、比較分析のための統合的データベースを作成するのに時間を要した。しかし、15カ国24種の調査は、それ自体、きわめて貴重で希少なデータベースを形成している。次の世代の研究は、この世紀転換期から2020年にまたがるデータを、先行する対比すべきデータとして、比較対照ソースとして利用することができるからである。ぜひ踏み台にしていただければ幸いである。
