『統治の不安と日本政治のリアリティ:政権交代前後の底流と国際比較文脈』
著者紹介
1955年生。同志社大学社会学部・大学院社会学研究科教授。博士(社会心理学)。1978年東京大学文学部卒業、1992年東京大学文学部助教授、2000年東京大学大学院教授などを経て、2013年より現職。著書にPolitical Discussion in Modern Democracies (2010年共編著、Routledge)、Social Network & Japanese Democracy (2011年共著、Routledge)、『新版 社会のイメージの心理学』(2013年単著、サイエンス社)、The International Encyclopedia of Political Communication, 3 Volume Set. (2015年共編著、Wiley-Blackwell)、『震災から見える情報メディアとネットワーク』、(2015年編著、東洋経済新報社)、『日本人の考え方 世界の人の考え方:世界価値観調査から見えるもの』(2016年編著、勁草書房)、『「日本人」は変化しているのか:価値観・ソーシャルネットワーク・ 民主主義』(2018年編著、勁草書房、日本社会心理学会第20回出版賞)、『補訂版 社会心理学』(2019年共著、有斐閣)、他、専門誌掲載論文含め多数。
内容紹介
第一に小泉自民党政権後の政治の底流を有権者の視点から検討し、第二に投票をめぐる社会的関係資本の複合規定を理論予測と現実の流れにそって検討する。第三に海外に目を転じアジアと世界の中で日本人がどれほど特殊なのかを比較文化的に検討する。カヴァーするデータの長さは四十年余に及ぶ。日本政治のリアリティの構造を鳥瞰する決定版。
目次 | |
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序章 日本政治のリアリティを解く三つの視点:令和に至る社会の変化の底流をとらえる | |
序1.本書を構成する三つの視点 | |
序2.タテ・ヨコ・補助線となる複数の大規模データ | |
序3.短いプレビュー | |
1章 社会関係資本・政治的アクターと投票選択:2009年の政権交代を焦点として | |
1 政治選択の社会環境的要因と政治的アクター | |
2 2009年政権交代,2012年政権交代を巡る潮流 | |
3 社会環境的要因の先行研究:ネットワークへの注目 | |
4 1976~2018年の政治心理的・社会関係資本的状況 | |
5 投票行動の社会関係資本的要因・政治的アクター要因の比較分析 | |
6 結論 | 2章 政党選択の幅と意味ある選択の理論:日本の国政選挙1996年~2003年 |
1 人間行動の二重の制約と投票行動 | |
2 政党布置の歴史的文脈 | |
3 意味ある選択と政党支持に対する態度の幅理論 | |
4 仮説の構成 | |
5 用いるデータ:1996年~2013年 | |
6 マイクロレベルでの分析:投票選択の幅の基本的検討 | |
7 マクロレベルでの分析 | |
8 結論 | |
3章 「インターネット選挙」導入がもたらした変化と国際的文脈 | |
1 能力拡張メディアとしてのインターネットが政治行動において果たす4つの役割 | |
2 日本初の「インターネット選挙」:2013年参議院選挙 | |
3 インターネット選挙とネットのアクティブユーザー:2013年と2016年の参院選 | |
4 CSES4の世界38選挙のインターネット関連分析 | |
5 2017衆院選:CSES5データの分析析 | |
6 結論:現時点のインターネット選挙 | 4章 社会関係資本と文化的価値観:日本の特異性は析出されるか |
1 「日本特異論」 | |
2 日本特異論を二つの国際比較文脈の中で実証する | |
3 政治文化と社会関係資本・民主主義の評価に関する仮説 | |
4 データと分析方法 | |
5 アジアンバロメータ調査の分析結果 | |
6 世界価値観調査の分析結果 | |
7 結論 | 5章 統治の不安と政治意識・行動:日本人の不安の国際的文脈 |
1 統治の不安とは | |
2 日本人の統治の不安の国際的な位置と客観データが持つ意味 | |
3 統治の不安の構造 | |
4 統治の不安を形作る要因のロジック | |
5 統治の不安:二変量間の関連性 | |
6 統治の不安の多変量解析:日本を対象とした分析 | |
7 統治の不安のHLM分析:日本を世界の比較の中で見る | |
8 結論 | |
終章 不透明な政治のリアリティと先行き感覚の喪失 | |
終.1 短いレヴュー | |
終.2 出口が見えない:統治の不安と不透明なリアリティ | 付表 分析に用いた日本の全国調査の一覧 | 引用文献 | あとがき | 索引 |