『分裂議会の政治学:参議院に対する閣法提出者の予測的対応』
A5判230頁予価:本体3000円+税 ISBN978-4-8332-2507-6 C3022
2017年3月20日刊行
著者紹介
松浦 淳介(まつうら じゅんすけ)
1980年 岡山県生まれ
2004年 慶應義塾大学経済学部卒業
2013年 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了 博士(政策・メディア)
現在 慶應義塾大学SFC研究所上席所員
専攻 立法過程論,現代日本政治分析
主要論文
「分裂議会に対する立法推進者の予測的対応―参議院の黙示的影響力に関する分析」『法学政治学論究』 92巻,2012年 「分裂議会における官僚の立法準備行動―特許庁による法案根回しの実態」『KEIO SFC JOURNAL』12巻1号,2012年 「東日本大震災の発生と日本の国会政治―映像資料を用いた与野党関係の分析」『レヴァイアサン』56号,2015年 「特定秘密保護法案の立法過程―分裂議会における参議院の拒否権と非決定現象」『法政論叢』52巻1号,2016年
内容紹介
本書は,2000年代以降に日本が経験した「分裂議会(divided Diet)」を対象として,その発生が閣法の立法過程にどのような影響をおよぼすのかを包括的に捉えようと試みた。
分析の視点を閣法提出者としての内閣および各省庁の側におき,国会過程だけでなく,閣法が国会へ提出される以前の国会前過程までを射程に入れて,分裂議会の発生が閣法提出者の立法準備にどのような変化をもたらしているのかを観察した。
第一に,閣法の選別,第二に,閣法の根回しについて,第三に,閣法の国会提出。 以上の分析結果は,いずれも分裂議会において閣法提出者の立法行動が抑制的になっていることを示紙し,法案が国会に提出されてからの国会過程だけに射程を限定した分析では捉えることのできない非決定の一端を明らかにする。
目次 | |
---|---|
第1章 問題の所在 | |
1 現代日本の統治ルールと参議院 2 実証研究における方法論的課題 2.1 分裂議会における閣法の国会審議 2.2 閣法提出者の戦略的行動 3 先行研究の検討 4 本書の分析視角 5 本書の構成 | |
第2章 分析枠組み | |
1 分析の対象 1.1 現行憲法下の分裂議会 1.2 分裂議会の分類 1.3 各分裂議会における国会政治 1.4 分析対象期間 2 理論的検討 2.1 日本の立法過程と拒否点 2.2 分裂議会における拒否点と拒否権プレイヤー 2.3 本書の仮説 3 本書の仮定 |
|
第3章 分裂議会における閣法の選別 | |
1 閣法の類型化 2 仮説とその検証方法 2.1 本章の仮説 2.2 閣法の分類方法 3 分裂議会における重要法案の選別 4 選別法案の立法的帰結 4.1 法案別の国会審議結果 4.2 衆議院の再可決権と優先重要法案 5 本章の知見 |
|
第4章 分裂議会における閣法の根回し | |
1 閣法の立法過程における官僚の役割 2 事例の選択 3 仮説と分析手法 3.1 本章の仮説 3.2 操作化の方法 4 仮説の検証 4.1 根回しの対象者 4.2 根回しの時期 5 本章の知見 |
|
補論 政権交代と官僚行動 | |
1 衆議院における多数派交代と官僚行動 2 仮説と分析手法 3 仮説の検証 4 本論の知見 |
|
第5章 分裂議会における閣法の国会提出 | |
1 国会提出法案の取捨選択 2 理論的検討 2.1 本章の仮説 2.2 ゲームによる検討 3 事前準備法案の国会提出 4 特定秘密保護法案の立法過程 5 本章の知見 |
|
補論 一致議会からの継続法案の行方 | |
第6章 分裂議会における重要法案の成立過程 | |
1 民主党政権下における分裂議会の特質 2 対象法案をめぐる与野党の戦略的行動 2.1 社会保障・税一体改革関連法案の位置づけ 2.2 原子力規制関連法案の位置づけ 2.3 ゲームによる検討 3 立法的帰結 3.1 社会保障・税一体改革関連法案の帰結 3.2 原子力規制関連法案の立法過程とその帰結 4 本章の知見と含意 |
|
補論 東日本大震災の発生と与野党関係 | |
1 本論の目的 2 分析枠組み 2.1 与野党の戦略的行動 2.2 分析の対象 2.3 作業仮説とデータ 3 実証分析 4 本論の知見 |
|
第7章 本書の結論 | |
1 本書の知見 1.1 得られた知見 1.2 本書の含意 1.3 本書の応用可能性 2 残された課題 3 分裂議会の評価 |
|
参考資料 | |
参考文献 Summary あとがき 索 引 |