『公共選択』第68号
2008年以降,わが国は,人口が継続に減少する社会に入り,2060年頃には,人口は8千万人程度まで落ち込み,2.5人に1人が65歳以上,4人に1人が75歳以上となることが予期されている。このような予測を踏まえ,「まちづくり」の合意形成に,直接民主主義の制度を利用するという新たな兆しが見られる。市町村合併と無投票当選の因果関係、町村合併と生活インフラとしての水道事業の関係、コンパクトなまちづくりと公共交通の再編・連携による都市全体の構造を見直す動き、すなわち,住宅や商業施設,病院,学校などを一定の区域に誘導する立地適正化計画の策定である。転換期を迎えたわが国の「まちづくり」に対して,今後の議論の広がりが期待できる内容である。
目次 | |
---|---|
巻頭言 特集企画意図及び本号の構成 | 山下 耕治 |
<論文> | |
医薬品流通における取引慣行改善のモデルシミュレーション | 能登 康之介 印南 一路 |
特集:まちづくりの公共選択 | |
日本の公共投資と公共選択 | 近藤春生 |
土壌汚染対策法の執行過程に関する予備的考察 | 高浜 伸昭 川瀬 晃弘 |
住民投票の比較分析-「拒否権」を通じた行政統制の可能性 | 砂原 庸介 |
首長選挙における無投票当選の発生要因 | 鷲見 英司 |
市町村合併と水道料金改定に関する分析 | 田代 昌孝 |
都市規模研究から都市構造研究へ-立地適正化計画- | 関口 駿輔 長瀬 勇人 |
<書評> | |
浅古泰史著『政治の数理分析入門』,肥前洋一編著『実験政治学』 | 堤 英敬 |
井堀利宏・小西秀樹著 『政治経済学で読み解く政府の行動:アベノミクスの理論分析』 |
寺井 公子 |
<報告> | |
第20回公共選択学会全国大会 | |
第19回公共選択学会学生の集いおよび優秀論文賞(加藤賞)選考結果 | |
公共選択学会優秀論文賞(黒川賞)選考結果 | |
公共選択学会若手研究者優秀報告賞(川野辺賞)選考結果 | |
公共選択学会「公共選択のフロンティア」優秀報告賞(原田賞)選考結果 | |
英文要旨 |