木鐸社

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『フランコ体制からの民主化:スアレスの政治手法』

A5判300頁定価:本体4500円+税 ISBN978-4-8332-2491-8 C3022
2016年3月20日刊行

著者紹介

永田 智成(ながた ともなり)
1981年 東京都生まれ
2004年 埼玉大学経済学部卒業
2012年 首都大学東京大学院社会科学研究科博士後期課程修了 博士(政治学)
在バルセロナ日本国総領事館専門調査員を経て
2014年より首都大学東京都市教養学部法学系助教
論文
「民主化期におけるフラガとスアレスの政治手法」『スペイン史研究』第26号、2012など

内容紹介

 本書は、民主主義の定義をダールのポリアーキー論に依拠し,フランコ体制最後の内閣であるアリアス=ナバーロ内閣の成立から,民主的な1978年憲法が制定されるまでの政治史を主に体制側の動向に着目して検討したものである。
 政治エリートの行動や戦略が,エリート間の対立を乗り越えることにより,初めて様々な困難が克服され,スペインの民主化の成功がもたらされたと考えるべきである。そのエリートの行動は,通説はシンボル操作でしかなかった「協定」を過大評価しているために様々な誤解をしている。本書が明らかにしたのは,スペインの民主化は,「奇跡的」な大成功ではあったが僥倖による「奇跡」ではなく,政治家の駆け引き,状況操作,戦略的行動の賜物であった。


目次
序章
第1章 オドンネル・シュミッターモデルとスペインの民主化
第1節 民主主義論と民主化論
第2節 オドンネル・シュミッターモデルとその問題点
第3節 オドンネル・シュミッターモデルとスペインの事例
第4節 スペインの民主化の論理
第5節 スペインの民主化から導き出される知見
第2章 本書で用いられる概念と研究史上の位置
第1節 スペインの民主化の特徴
第2節 本書で用いられる概念
第3節 スペインの民主化研究における本書の位置づけ
第3章 体制内改革派による政治改革と民主化への道
第1節 アリアス=ナバーロ内閣の成立
第2節 第一次アリアス=ナバーロ内閣による政治改革
第3節 国民運動との対立-勢力図の変容
第4節 体制内改革派による「結社」活動
第5節 フラガによる政治改革とスアレスの台頭
第4章 体制内部完結型の政治改革:体制内部における主導権争い
第1節 スアレス内閣の成立
第2節 フラガの下野
第3節 政治改革法成立に向けて
 第1項 政治改革法以外のスアレスの政策
 第2項 政治改革法
第5章 フランコ体制諸制度の解体と総選挙の準備
第1節 政治改革法成立以降のスアレスの政策
第2節 フランコ体制諸機関の解体
 第1項 治安裁判所の廃止
 第2項 国民運動の解体
第3節 反体制派の活動
第4節 選挙法の制定
第5節 政党の合法化
 第1項 法整備
 第2項 カリージョの身柄拘束
 第3項 PCEによる党葬
 第4項 スアレスの決断
 第5項 PCEの合法化に対する軍部の反応
第6節 総選挙へ向けて
 第1項 国民同盟の活動
 第2項 スアレスの出馬
 第3項 総選挙
第6章 議会制民主主義におけるスアレスの政治
第1節 第二次スアレス内閣の成立
第2節 モンクロア協定
第3節 UCDの政党化
第4節 憲法制定とその中身
 第1項 憲法制定過程
 第2項 スペイン憲法第八編―地方の組織
 第3項 憲法に関する総括
終章
主要参考文献
一次資料/邦文文献/欧文文献献/新聞・雑誌・官報・テレビ
二次資料/日本語文献/欧文文献
主要略語一覧
あとがき
索引

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