『消費者契約の法と行動経済学』
原題:Seduction by Contract: Law, Economics, and Psychology in Consumer Markets, First Edition 2012,Oxford UP
A5判380頁定価:本体4500+税 ISBN978-4-8332-2498-1 C3032
2017年2月1日刊行
著者紹介
<著者>
オレン・バー=ギル(OREN BAR-GILL)
<監訳>
太田 勝造(おおた しょうぞう)現在 東京大学法学部教授
<翻訳>
谷 みどり(たに みどり)現在 経産省商務流通保安グループ消費者政策研究官
新堂 明子(しんどう あきこ)現在 法政大学大学院法学研究科教授
沖野 眞已(おきの まさみ)現在 東大大学院法学政治学研究科教授
内容紹介
取引費用が大きい現代社会の消費者は,過去とは全く異なる構造の問題を解かなければならず,しかも,売り手と買い手の間の情報の格差は拡大し,消費者はその脆弱性を曝け出している。最大の問題は,売り手の側が消費者側のこの脆弱性に付け込んでいることである。
本書は,その「付け込み」の構造を明らかにしている。消費者が売り手の脆弱性につけ込むことは,悪徳消費者やクレーマーの存在に鑑みれば,そのような場合がないわけではない。しかし,圧倒的多数派は売り手による買い手の搾取である。それには理由があり,売り手と買い手の間には構造的な力の不均衡が存在するからである。合理的な悪徳が売り手の側に蔓延する。
このような消費者問題に対して,クレジット・カード市場,住宅担保ローン市場(サブプライム・モーゲージ市場),携帯電話市場に対するケース・スタディを実施して検証する。更に解決策として,商品属性情報の開示を超えて,個々人の商品使用パタンについての情報開示を提案する。
目次 | |
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日本語版への序文 | |
序 | |
第1章 | |
はじめに Ⅰ.消費者契約の行動経済学 Ⅱ.社会厚生への影響 Ⅲ.市場による解決とその限界 Ⅳ.法政策上の意義:情報開示規制 結論 付録 |
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第2章 | |
はじめに Ⅰ.クレジット・カード市場 Ⅱ.クレジット・カード契約 Ⅲ.合理的選択理論とその限界 Ⅳ.行動経済学の理論 Ⅴ.社会厚生への影響 Ⅵ.市場による解決 Ⅶ.法政策上の意義:情報開示再考 結論 付録:導入感謝利率 |
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第3章 | |
はじめに Ⅰ.サブプライム住宅担保ローン市場 Ⅱ.サブプライム住宅担保ローン契約 Ⅲ.合理的選択理論とその限界 Ⅳ.行動経済学の理論 Ⅴ.社会厚生への影響 Ⅵ.法政策上の意義 結論 |
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第4章 | |
はじめに Ⅰ 携帯電話と携帯電話サーヴィス市場 Ⅱ 携帯電話サーヴィス契約 Ⅲ 携帯電話サーヴィスの解説 Ⅳ 社会厚生への影響 Ⅴ 市場による解決 Ⅵ 法政策上の意義 結論 |
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全体の結論 | |
監訳者あとがき | |
文献 | |
索引 |