『イスラーム家族法入門』
仏題:Le droit musulman (2nd.ed. 2007)
ISBN978-4-8332-2488-8 C3032 A5判270頁定価:本体2500円+税
著者紹介
<著者>
フランソワ‐ポール・ブラン(F.-P. Blanc)
<共訳>
小林 公(こばやし いさお)
1967年 東京大学法学部卒業
現 在 立教大学法学部名誉教授
著 書 『法哲学』(木鐸社 2009年)他
宮澤 愛子(みやざわ あいこ)
2002年 立教大学大学院法学研究科博士後期課程修了(比較法専攻)
主要論文
「The Foreign Tort Claims in Australian Conflict of Laws」(立教大学院法学研究16号 1996年)
松﨑 和子(まつざき かずこ)
2002年 立教大学大学院法学研究科博士前期課程修了(比較法専攻)
主要論文 「ローマ法における仲裁に関する一考察」(修士論文2002年)
内容紹介
本書はフランスの標準的なイスラーム法解説書『イスラーム法研究序説』のうち家族法に関する部分を圧縮して文庫化した原書第2版を翻訳したもの。
著者は「普遍主義的な要求を持つ体系として,今日イスラーム法はきわめて強く自己主張している。シャリーアは,啓示に由来し人間の手を全面的に免れた法論理に基づいているため,時間の外に存在する。イスラームは他の国々の社会の発展にはかかわりがない。様々な国際条約に定められた規則とイスラームの法理論との矛盾は,イスラームにとって変化の要因にはなりえないであろう。
原則としてクルアーンに由来し初期のカリフが伝えたスンナによって明確にされた家族法は,今日52ヵ国で適用されている。
イスラーム公法の様々な側面,特に身分法と同じ位強くシャリーアの上に築かれた刑法は,今日幾つかの政府によって施行されている。多くの国々は,イスラーム原理主義の高まりの中,やがて神政政治の再興を求める自らの要求を立法化することもありうるだろう」と結論する。
目次 | |
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はしがき | |
序章 イスラーム法の法源 | |
第一節 聖なる法源 一 クルアーン 二 スンナ 第二節 シャリーアの派生的法源 一 イジュマー(共同体の合意) 二 キヤース(類推に基づく推論) 三 イジュティハード(法規則の創造) 第三節 慣習と判例 一 慣習 二 判例 第四節 法令(カーヌーン) |
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第一章 婚姻(ニカーフ) | |
第一節 婚姻の成立 一 婚姻の有効性のための必要条件 二 婚姻の無効 三 婚姻の立証 第二節 婚姻の効力 一 夫の義務 二 妻の義務 |
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第二章 婚姻の解消(タラーク) | |
第一節 離縁(タラーク) 一 スンナの離縁と改革された離縁 二 宣誓による離縁 三 合意による離縁 第二節 裁判所の決定による婚姻の解消 一 リアーン(呪詛の誓約) 二 婚姻契約取消しの原因となる欠陥 三 婚姻上の義務の不履行 四 裁判官の職権による婚姻解消 |
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第三章 親子関係(ナサブ) | |
第一節 親子関係の立証 一 婚姻による立証 二 認知による親子関係 三 養子縁組による親子関係(タバンニー) 第二節 親子間における権利と義務 一 父の権利義務 二 母の権利義務 三 子の権利義務 |
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第四章 未成年者の後見(ウィラーヤ) | |
第一節 後見制度 一 後見の終了 二 誰が後見人になるか 第二節 後見人の権限 一 ウィラーヤの制限 二 後見人の権限に関する諸規則 第三節 後見人の財産管理に対する監査 一 古典法 二 現代法 |
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第五章 相続(ファラーイド) | |
第一節 相続の資格 一 相続の開始 二 相続に必要とされる条件 第二節 相続人の順位 一 ファルド分の相続人 二 アサブの相続人 三 ザウール・アルハーム(女系親族) 四 国庫 五 現代のイスラーム相続法 |
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第六章 結語 | |
付録 モロッコ家族法の変遷(小林 公) | |
一 『ムダウワナ』の制定 二 『ムダウワナ』改正に向けて 三 新家族法の制定 |
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あとがき | |
参考文献 | |
索引 |