『パブリシティ権概説 第3版』
A5判516頁定価:本体5500円+税 ISBN978-4-8332-2475-8 C3032
2014年5月23日刊行
著者紹介
内藤 篤(ないとう あつし)
1958年 東京生まれ
東京大学法学部卒業後,弁護士登録(第一東京弁護士会)。
1990年 ニューヨーク州弁護士登録。
1994年 独立,青山綜合法律事務所を設立
田代 貞之(たしろ さだゆき)
1952年 大阪市生まれ
千葉大学人文学部(法律専攻)卒業後,1975年株式会社電通入社
1982年 法務部門にて勤務(法務室部長)
2000年 逝去
内容紹介
かつての肖像プライバシー権が肖像パブリシティ権の領域を侵食しつつあるのではないかという問題意識から、新たに書き下ろした第3章、及び2012年に下されたピンク・レディー最高裁判決に対する評価に加え、全編にわたって改訂を施した。
目次 | |
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第3版はしがき | |
第2版への序文 | |
序 | |
第I部 総 論 | |
第1章 パブリシティの権利の基礎構造 | |
1 権利の基礎構造――なぜ権利の基礎構造なのか 2 パブリシティ権の漠然たる把握 3 法的権利・法的利益の性質 4 権利の基本構造への二つのアプローチ 5 我が国の実体法としてのパブリシティ権――アメリカ法とのスタンスの取り方 |
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第2章 作業仮説としての「アイデンティティの権利」 | |
1 上位概念としてのアイデンティティの権利(ID権) 2 人格権とプライバシー権の関係 3 氏名権・肖像権とパブリシティ権の形成 4 法人の人格権――パブリシティ権との関係 5 ID権の一元的構成と二元的構成 6 ID権の反乱――混沌化するプライバシー権・肖像権 |
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第3章 肖像権とパブリシティ権――代替可能な権利? | |
1 問題の所在 2 肖像権の定義 3 肖像権の射程距離 4 ピンク・レディー最高裁判決 5 ピンク・レディー状況への肖像権の適用 6 グラビア的使用に対するパブリシティ権/肖像権の適用 7 典型利用に対する肖像権の適用 8 総括 |
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第4章 法源論,先占論(総論) | |
1 問題の所在――既存制定法との抵触関係序説 2 法源論 3 先占論――総論 |
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第5章 先占論(各論) | |
1 不正競争防止法との抵触関係 2 著作権との抵触関係 3 著作隣接権との抵触関 |
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第6章 標識法としてのパブリシティ権――顧客吸引力=弱い標識性 | |
1 標識法としてのパブリシティ権 2 顧客吸引力再説 3 顧客吸引力=「弱い標識性」への道程 4 標識性の根拠? 5 グラビア的使用の問題 6 顧客吸引力理論は「破綻」したのか? |
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第7章 「モノのパブリシティ権」批判 | |
1 「モノのパブリシティ権」とは何か 2 いわゆる「所有権理論」をめぐって 3 「顧客吸引力あるモノ」とパブリシティ権 4 「モノパブ論」批判 |
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第8章 「そっくりさん」論 | |
1 「そっくりさんパブリシティ」の根拠 2 「そっくりさんパブリシティ」各論 |
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第9章 顧客吸引力の濫用? | |
1 「理 力の暗黒面」 2 顧客吸引力の相当な行使と不相当な行使の境界 3 何をもって責任の分岐点と考えるべきか 4 「理 力の暗黒面」再び |
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第Ⅱ部 各 論 | |
第10章 対象物 | |
1 “ペルソナ” 2 顔 3 氏名 4 身体の一部 5 履歴,その他の個人情報 6 声 7 スタイル 8 モノ |
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第11章 パブリシティの権利の主体 | |
1 問題の所在 2 非著名人(あるいは非芸能人)とパブリシティの権利 3 パブリシティ権の本人以外による原始取得の可能性 4 モノ・場所の所有者・管理者 5 公人(public figure)ないし政治的人物(political figure) 6 「悪人」のパブリシティ権 7 グループの諸問題 8 個人の属する集団 9 法人 |
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第12章 パブリシティの権利の存続期間――権利の発生と消滅 | |
1 固定の存続期間 2 消滅事由――絶対的な時間の経過? 3 消滅事由――放棄 4 消滅事由――営利利用ないし管理行為の停止 5 消滅事由――相続人の不在 |
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第13章 権利の移転・共有・団体管理関係 | |
1 譲渡性 2 相続性 3 パブリシティ権の共有――グループ固有の問題 4 団体管理の諸問題 5 包括的許諾・包括的譲渡 6 将来の権利の譲渡 7 譲渡・許諾の方式 8 対抗関係 |
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第14章 侵害 | |
1 侵害の成立 2 商業性 3 利用の実質性 4 識別性 5 侵害の間接証拠としての「あいさつ」 6 利用の有無――みなし侵害,間接侵害の可能性 |
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第15章 抗弁 | |
1 抗弁としての表現の自由:判例の流れ 2 抗弁としての表現の自由:私見 3 表現の自由──アメリカの場合 4 対象 5 アメリカでの議論からの示唆 6 パロディ:フェア・ユースとしてのパロディ 7 著作権系の抗弁の援用 8 権利濫用の法理 |
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第16章 救済 | |
1 差止 2 損害賠償 3 廃棄請求権 4 名誉回復措置 5 水際規制 6 執行 |
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第17章 国際関係 | |
1 外国人のパブリシティの権利 2 パブリシティ権侵害の性質決定 3 本邦人の海外におけるパブリシティの権利の保護 4 並行輸入 |
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第18章 パブリシティの権利と税務 | |
1 源泉徴収を要する報酬・料金等の範囲――内国源泉徴収問題 2 国際課税における源泉徴収問題 3 パブリシティ権侵害訴訟での損害賠償金,和解解決金と税務 |
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第19章 罰則 | |
1 不正競争防止法 2 アイコラに対する名誉毀損罪の適用? 3 その他の法律 |
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付録 | |
ニューヨーク州市民権法 50条,51条 カリフォルニア州民法 3344条,3344.1条 |
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索引 |