『参加のメカニズム:民主主義に適応する市民の動態』
英題:Mechanisms of Participation: Citizen Adaptation to a Democratic Dilemma
A5判192頁定価:本体2800円+税 ISBN978-4-8332-2468-0 C3031
2014年3月7日刊行
著者紹介
荒井 紀一郎(あらい きいちろう)
1980年 神奈川県生まれ
2009年 早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学
2010年 早稲田大学 博士(政治学)
現在 首都大学東京准教授
論文
「政治的洗練性と態度の安定性」(共著)『選挙研究』27巻1号(2011年)
内容紹介
政治参加は,民主主義の基礎であり現代政治学の最重要なテーマの一つである。本書はまず,強化学習という新たな理論に基づいて,参加モデルを構築し,同一のモデルで,投票と投票以外の政治活動への市民の参加活動をより体系的に説明する。更に新たに構築したモデルを,統計解析やシミュレーション,社会調査実験など多様な方法を用いることで,従来の実証手法よりも厳密にその予測力や妥当性を検証し,「学習する市民像」を提示する。
目次 | |
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第1章 本書の目的と意義 | |
1.1. 政治参加研究のアプローチと本書の意義 1.2. 投票参加のパラドックスと社会的ジレンマ 1.3. 実証研究における問題点 1.4. 本書の構成 |
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第2章 政治参加の種類 | |
2.1. 政治参加の定義と種類 2.2. 政治的活動への市民の参加経験 2.3. 参加の「難易度」 2.4. 政治参加と動員 2.5. 政治参加と市民の意識 2.6. まとめ |
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第3章 政治参加の理論 | |
3.1. 社会学モデル 3.2. 心理学モデル 3.3. 経済学モデル 3.4. 習慣的投票者と強化学習 3.5. まとめ |
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第4章 強化学習モデルにもとづく有権者の投票参加 | |
4.1. 強化学習とシミュレーションアプローチ 4.2. ファウラーの投票参加モデル 4.3. 投票率,個人の行動と選挙結果 4.4. 予測力の比較 4.5. まとめ |
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第5章 経験とその評価にもとづく有権者の政治参加 | |
5.1. 仮説とデータセット 5.2. モデルと推定方法 5.4. 推定結果 5.5. 市民の非同質性と動員 5.6. 投票参加に対する動員の因果効果 5.7. まとめ |
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第6章 学習が生み出すもの | |
6.1. 実験1:集団に対する帰属意識2と政治参加 6.2. 複数の帰属意識と政治行動 6.3. 実験1のデザイン 6.4. 実験1の結果 6.5. 実験2:学習によって生み出される政治的態度 6.6. 実験2のデザイン 6.7. 実験2の結果 6.8. まとめ |
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第7章 結論 | |
7.1. 本研究によって明らかになった知見 7.2. 学習する市民 7.3. 今後の課題 |
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補遺 | |
A.シミュレーションの種類と特徴 B.実験1「インターネットによる会社員の政治意識調査」の概要と質問項目 C.実験1で回答者に割り当てた画面 D. 実験2「世論と意思決定に関する調査」の概要と質問項目 |
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参考文献 | |
あとがき | |
索引 |