『法統計学入門:法律家のための確率統計の初歩』
A5判300頁予価:本体3000円+税 ISBN978-4-8332-2474-1 C3032
2014年8月29日刊行
著者紹介
<著者>M・O・フィンケルスタイン
<監訳>
太田 勝造(おおた しょうぞう) 東京大学法学部教授
<翻訳>
飯田 高(いいだ たかし) 成蹊大学法学部教授
森 大輔(もり だいすけ) 熊本大学法学部准教授
内容紹介
今日の法学の専門誌のほとんどは科学的方法による法学研究や法制度の経験科学的研究で溢れ,これらの研究のほとんどで統計分析が利用されている。これは実務でも同じで1993年のダウバート判決が科学的証拠の採否についての新たな要件を設定した。
とは言え裁判は複雑で多様であり,現実の証拠は,統計学の入門書で使われる単純素朴な教科書的設例やそのきれいな解答とは似ても似つかないしろものになり,興味深い統計学的問題が,事案の帰趨を決定する法や事実の観点からは重要でないとされ,その問題の解決がなされないまま,あるいは敢えてその問題の解決を回避して訴訟に決着がついてしまうことがある。本書ではそのような事案も採り上げて検討した。研究者・実務家に最適の入門書。
目次 | |
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日本の法律関係者への前書き | |
まえがき | |
第1章 確率 | |
古典的確率概念と法的確率概念 ベイズの定理 選別検査(スクリーニング・テスト) ベイズ分析をめぐる論争 |
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第2章 記述統計の初歩 | |
中心の位置を測る尺度(代表値) 平均値/中央値(中位数,メディアン)/最頻値/別のタイプの平均値/ ばらつきを測る尺度 分散と標準偏差/標本合計と標本平均の分散/ 相関 2つの比率の相違の測定/ |
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第3章 複合事象 | |
和の法則 積の法則 |
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第4章 有意性 | |
有意性の概念 帰無仮説の棄却 標準誤差2個分ないし3個分を基準とするルール 統計的有意性と法的有意性 有意性を決定する要因 有意性のないデータ |
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第5章 確率変数とその分布 | |
期待値,分散,相関 二項分布 超幾何分布 正規分布 ポアソン分布 ステューデントのt分布 幾何分布と指数分布 |
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第6章 信頼区間 | |
第7章 検定力 | |
第8章 標本抽出 | |
標本抽出とは何か 単純無作為抽出 バイアスの問題 より複雑な抽出方法 小さな標本 |
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第9章 疫学 | |
コーホート研究 症例対照研究 バイアスと交絡 関連性 対 因果関係 |
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第10章 証拠の統合 | |
統合されたデータと分割されたデータ メタ分析 | |
第11章 回帰モデル | |
4つのモデル 農業普及推進機関における賃金差別/窒素酸化物の排出削減/ トラック運転手の運転時間制限/ブロックによる投票/ モデルの推定 モデルの不確定部分の測定 内在的な変動性/標本抽出誤差/回帰推定値に関する信頼区間と予測区間/ |
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第12章 回帰モデル:さらなる検討 | |
独立変数の選択 代理変数 歪んでいる変数 データを統合することによる問題 モデルの形 変数の形 対数/2次の項/交互作用項/ モデルの不確定部分の測定 モデルの仮定 第1の仮定:各誤差項の期待値は0である/ 第2の仮定:誤差項は相互に独立である/ 第3の仮定:各誤差項の分散は一定である/ 第4の仮定:各誤差項は正規分布に従う/モデルの仮定の検証 ロジスティック回帰分析 |
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原注 | |
訳注 | |
監訳者あとがき | |
引用判例一覧 | |
索引 |