『日本のマクロ政体:現代日本における政治代表の動態分析』
英題:The Japanese Macro Polity Analysis of Dynamic Representation in Japan
A5判272頁:本体4000円+税 ISBN978-4-8332-2453-6 C3031
2012年3月22日刊行
著者紹介
大村 華子(おおむら はなこ)
1980年 大阪府生まれ
2011年 京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了,京都大学博士(法学)
現在 京都大学大学院法学研究科助教
主要論文
「戦後日本の政党のコミットメントと世論―世論と政党の政策をめぐる2つの問いの検証」『選挙研究』26巻2号,2010年
「投票行動における福祉と防衛の比較考量―戦後日本の有権者にとっての『大砲』と『バター』」『レヴァイアサン』47号, 2010年
内容紹介
政府及び政党の掲げる政策と世論の動きに注目することによって、有権者の期待する政策を実現し,その負託に応えてきたのか,代議制民主主義の機能である応答性を果たしてきたのか,それらをマクロ政体として捉え動態的に検証することで日本の実質的民主主義の特徴を提示する。
目次 | |
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第I部 本書の枠組みの提示:「日本のマクロ政体」 | |
第1章 序論:本書の課題と概念の定義 | |
1.1 日本政治研究と選挙制度への注目 1.2 「日本のマクロ政体」 1.3 定義:代議制民主主義と政治代表 1.4 本書の構成 |
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第2章 「日本のマクロ政体」とは:本書の分析枠組み | |
2.1 日本政治研究における制度への注目と3つの研究の傾向 2.1.1. 選挙制度への注目とミクロ次元の分析視点 2.1.2 中選挙区制下の政治の非民主的側面 2.1.3 自民党と政府を同一に扱うということ 2.2 本書の分析枠組み 2.2.1 3つの傾向と本書の枠組みの基盤 2.2.2 本書の枠組み:「日本のマクロ政体」モデル |
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第II部 世論と政府の関係 | |
第3章 世論と政府の関係についての先行研究 | |
3.1 アメリカ政治をめぐるマクロ政治分析の始動 3.2 「動態的代表」論文 3.3 関連の日本政治研究:内閣支持率分析 3.3.1 支持率データの使用とマクロ党派性研究 3.3.2 内閣支持率と政策選択の関係 |
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第4章 戦後日本政治における政策ムード | |
4.1 日本にも政策ムードは存在したのか 4.1.1 アメリカにおける政策ムード:スティムソンによる指標化 4.1.2 政策ムード指標の応用に際して:どの世論データを用いるのか 4.2 日本における政策ムード 4.3 まとめ |
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第5章 政策ムードの規定要因の分析:経済状態と政策ムード | |
5.1 何が政策ムードを動かすのか 5.1.1 経済状態と評価のムードに対する影響 5.1.2 ブラント=フリーマン・モデルからの発展 5.2. 経済状態に対する2種類の評価基準 5.3 独立変数に何を含めるか 5.4 実証分析 5.4.1 推定法:客観的状況の外生性と主観的認知の内生性 5.4.2 RF-VARモデルとSVARモデルの分析結果 5.4.3 ARMAモデルによる分析 5.5 まとめ |
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第6章 戦後日本政治における動態的代表:政策は世論に規定されてきたのか | |
6.1 政策選択を何によって測るのか 6.2 変数の設定 6.2.1 従属変数:「補償」と「再分配」 6.2.2 制御変数 6.3 政策ムードと政策選択 6.3.1 推定法 6.3.2 分析結果 6.4 まとめ |
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第7章 個別政策分野の世論と政策選択の関係 | |
7.1 個別の政策分野における世論の反応:立法と政府支出への注目 7.2 設定:データセットと各変数の説明 7.3 政策分野ごとの分析結果 7.3.1 社会保障 7.3.2 教育 7.3.3 農林水産 7.4 まとめ |
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第III部 世論と政党の関係 | |
第8章 世論と政党の関係についての先行研究 | |
8.1 アメリカ政治学に関するマクロ分析の問題点 8.2 代表制研究の現在:その動向と課題 8.2.1 近年の研究の特徴と問い 8.2.2 空間競争理論とその実証 8.2.3 第一の研究群:政党の公約は何によって決まっているのか 8.2.4 第二の研究群:世論に迎合する政党は選挙に強かったのか 8.3 日本における政党の政策に関する研究 8.4 代表制研究の残された課題と日本政治研究の可能性 |
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第9章 政党の政策に対する有権者の注目 | |
9.1 有権者は政策に注目していたのか:マクロ次元の分析の必要性 9.2 分析の設定 9.2.1 データ 9.2.2 独立変数と従属変数 9.3 推定法 9.4 分析結果 9.4.1 切片にのみ変量効果を含むモデル 9.4.2 各変数の傾きにも変量効果を加えたモデル 9.4.3 与野党の差異の交差項を固定効果に含んだモデル 9.5 まとめ |
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第10章 政党のコミットメントと世論:政党の公約は世論に規定されてきたのか | |
10.1 世論は政党の政策を規定してきたのか 10.2 分析 10.2.1 設定:データセットと各変数の説明 10.2.2 分析結果 10.3 世論に応答する政党は選挙に強かったのか 10.4 分析 10.4.1 設定:交差項を含む独立変数の構成 10.4.2 分析結果と議論 10.5 まとめ |
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第IV部 結語 | |
第11章 結論と含意:「日本のマクロ政体」の実相 | |
11.1 本書の知見の要約 11.2 日本におけるマクロ政体とは 11.2.1 「日本のマクロ政体」の特徴:「弱者救済を重視する民主主義」 11.2.2 「日本のマクロ政体」という議論の限界,そしてなお強調しうる意義 11.2.3 「日本のマクロ政体」の変化 11.3 今後の展望と課題 |
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付録A:各章の実証分析における分析単位の一覧 | |
付録B:RF-VARモデルとSVARモデルについて | |
付録C:RF-VARモデルとSVARモデルの分析結果一覧 | |
付録D:パネル・データ分析に際しての推定モデル | |
付録E: CMPデータについて | |
付録F: 第10章各節の推定法について | |
参考文献 | |
日本語文献/英語文献 | |
アブストラクト | |
索引 |