『法と文学』(原著第3版)(上)(下)
英題:Law and Literature, (3rd. ed.)
(上)A5判352頁本体5000円 2011年11月14日刊行 ISBN978-4-8332-2443-7 C3032
(下)A5判・384頁本体5000円 2011年11月14日刊行 ISBN978-4-8332-2444-4 C3032
著者紹介
<著者>
リチャード・A・ポズナー(Richard Allen Posner)
1939年,ニューヨーク生まれ。1959年に英文学を主専攻としてイェール大学を卒業し,1962年にハーヴァード大学ロースクールを修了した。成績優秀者としてハーヴァード・ローレビューの編集委員長も務めている。ブレナン最高裁判所裁判官のロークラーク,連邦取引委員会委員長の補佐官等を経て,1968年にスタンフォード大学ロースクール准教授,1969年にシカゴ大学ロースクールの教授に招聘された。1981年に連邦第7巡回区控訴裁判所裁判官に就任し,1993年から2000年まで同裁判所の主席裁判官を務めた。現在,連邦第7巡回区控訴裁判所の裁判官であり,また,シカゴ大学ロースクールの上級講師としても教鞭を執る。「法と経済学」という学際的領域における先駆者として,その分野では,最も参照・引用されることの多い法学者であり,1999年におけるニューヨーク・タイムズ紙の記事によれば「アメリカにおいて最も尊敬されるべき裁判官の一人」として紹介されている。
<監訳>
平野 晋
1961年,東京都生まれ。1984年に中央大学法学部法律学科卒業。1990年にコーネル大学ロースクール修了。同年,ニューヨーク州法曹資格試験合格。1993年にホワイト&ケース法律事務所アソシエイト,2000年にNTTドコモ法務室長を経て,2004年より中央大学総合政策学部教授(現在に至る)。2007年に博士(総合政策)を中央大学より取得。
<翻訳>
坂本 真樹
1976年,岩手県生まれ。2008年に中央大学大学院法学研究科博士後期課程(国際企業関係法専攻)単位取得。2007年より静岡大学人文学部法学科准教授(現在に至る)。
神馬 幸一
1977年,埼玉県生まれ。2005年に慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程(公法学専攻)単位取得。2005年から2007年まで,スイス政府国費奨学金留学生として,スイス・ベルン大学に留学し,2007年にスイス・ベルン大学法学部附属高等修士課程修了(LL.M.取得)。2008年より静岡大学人文学部法学科准教授(現在に至る)。
内容紹介
「法と文学」は,法を「概念法学」から解き放ち,法の理解に人間性を取り戻すことで司法における判断過程をより豊かにする。 「法と経済」の第一人者ポズナーは,米国における「法と文学」運動が曖昧模糊として素人を寄せ付けない理論を高尚なそれに 見せかけている点を徹底的に論駁し,斬新な視点から「法学」と「文学」の両分野にまたがる作品を網羅し,多様な分析を行い, この学問の将来の方向性を示す。 文学研究者・文芸評論家のみならず,法曹(裁判官,検事,弁護士,法学研究者)にも裨益 するであろう。
目次 | |
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日本語版に寄せて | |
はしがき/批評論的序章 | |
[上巻] 第1部 法としての文学 | |
第1章 文学に映し出される法の影響 | |
理論的考察/ 法を扱うアメリカ文学の作品/ 大衆文化における法/ カミュとスタンダール/ 茶番劇としての裁判/ |
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第2章 法の起源 ― 法の原型・文学的特性としての復讐 ― | |
復讐の論理/ 復讐の文学/ 『イーリアス』と『ハムレット』/ |
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第3章 法理論が抱える矛盾 | |
ソポクレースからシェリーまでの法を扱った演劇/ 法に社会的性差はあるのか?/見 |
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第4章 文芸批評的な法学の限界 | |
カフカ/ ディケンズ/ ウォーレス・スティーヴンズ/ |
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第5章 法の不正義を告発する文学作品 | |
法とルサンチマン/ 文学と法におけるロマン主義的価値観 『ビリー・バッド』・『カラマーゾフの兄弟』・法の限界/ |
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第6章 カフカ作品に関する二つの法的な見方 | |
政治的にカフカを解釈することに関して/ 古典的自由主義の擁護/ 大審問官と社会理論家/ |
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第7章 『失楽園』における刑罰理論 | |
サタンと追従者達への罰/ 人類への罰/ 動物への罰/ 〈以上上巻〉 |
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[下巻] 第2部 文学としての法 | |
第8章 契約・法令・憲法の解釈 | |
理論化された解釈/ 法は,文芸批評から何を学べるか?/ 連作小説と黒いインク/ 翻訳としての解釈/ |
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第9章 文学としての法廷意見 | |
意味内容・表現方法・修辞法/ 審美的完全性・表現方法における「純粋さ」対「不純さ」/ 二つの文化/ |
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第3部 文学は,法を救えるか? | |
第10章 法に有用な背景的情報源としての文学 | |
『凱旋門』/ ハクスレーから『マトリックス』まで/ |
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第11章 公判と上訴における弁論の改善 | |
シャーロック・ホームズは,救いの主か?/ 法の物語論/ フィクションにおける法律家の描写/ 『ジュリアス・シーザー』における追悼演説/ |
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第12章 文学は,法に血を通わせられるか? | |
「審美的文芸批評」対「道徳的文芸批評」/ なぜ,文学作品を読むのか?/ |
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第4部 法による文学の規制 | |
第13章 著作者ではない人々の保護 | |
ポルノ小説/ フィクションによる名誉毀損/ |
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第14章 著作者とされる人々の保護 | |
「著作者」とは何者か?/ 著作権・剽窃・創作性/ パロディ/ |
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終章 「法と文学」という提言 | |
訳者あとがき/人名索引/作品名索引/ 〈以上下巻〉 |