『教育行政の政治学:教育委員会制度の改革と実態に関する実証的研究』
英題:Political Science of Educational Administration: Empirical Study on the Reform and Situation of the Educational Board System in Japan
A5判332頁定価:本体3000円+税 ISBN978-4-8332-2440-6 C3031
2011年2月28日刊行
著者紹介
村上 祐介(むらかみ ゆうすけ)
1976年 愛媛県生まれ
1999年 東京大学教育学部卒業
2004年 東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学 日本学術振興会特別研究員,愛媛大学法文学部講師,准教授を経て
現在 日本女子大学人間社会学部准教授,博士(教育学)(東京大学)
論文 「自治体の統治システム」村松岐夫編著『テキストブック地方自治(第2版)』(東洋経済新報社,2010年)
「教育改革の政治過程」岡田浩・松田憲忠編著『現代日本の政治』(ミネルヴァ書房,2009年)
「都道府県教育長人事の実証分析」『日本教育行政学会年報』第33号(教育開発研究所,2007年)(日本教育行政学会研究奨励賞受賞)
内容紹介
教育行政学と行政学は教育委員会制度改革に対する方向性は鋭く対立しているが,それは規範的な見解の違いであって,現状認識としては,共に教育行政が縦割り集権構造の強い領域であるというモデルの理解に立っている。本書はこれに対し通説とは異なるモデルに立って実証的な分析により提示する。更にその実証過程で新しい制度論に基づき,教育行政学および政治学・行政学への理論的貢献を果たす。
目次 | |
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序章 問題関心と本書の概要 | |
第1章 先行研究の検討と理論的整理 | |
1・1 課題設定と問題関心 1.1.1 課題設定と仮説 1.1.2 本研究の意義 1・2 教育委員会制度論の検討 1.2.1 教育行政学・教育法学 1.2.2 政治学・行政学など 1.2.3 教育委員会制度改革のモデルとその検討 |
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第2章 本研究の分析枠組と仮説 | |
2・1 本研究の仮説(1)――通説的見解への疑問と新たなモデル 2.1.1 統合・分立概念の導入 2.1.2 通説的見解――縦割り集権モデル 2・2 本研究の仮説(2)――教育委員会制度はなぜ「安定」したのか 2.2.1 本研究の分析枠組 2.2.2 教育委員会制度安定のメカニズム |
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第3章 教育委員会制度改革をめぐる政治過程 | |
3.1 本章の問題関心 3.2 本章の概要と結論 3.3 分析枠組と仮説 3.4 1956年の教育委員会制度改革 3.4.1 地教行法制定までの経緯 3.4.2 個別の制度変更に関する検討 3.4.3 考察 3.5 1980年代の教育委員会制度改革 3.5.1 地教行法改正案提出までの経緯 3.5.2 法案提出後から廃案までの経緯 3.5.3 考察―1980年代の制度改革はなぜ「失敗」したのか 3.6 地方分権改革 3.6.1 地方分権改革での地教行法改正の経緯 3.6.2 教育長任命承認制の廃止 3.6.3 都道府県・政令指定都市教育長の兼任制導入 3.6.4 考察 3.7 結論と含意 |
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第4章 教育長人事の実証分析 | |
4.1 分析の目的と概要 4.2 出向人事の行政領域間比較 4.2.1 教育行政学・行政学における出向人事の研究 4.2.2 中央省庁から教育長への出向 4.2.3 教育長と首長部局の部局長との比較 4.2.4 小括 4.3 中央省庁から教育長への出向を規定する要因 4.3.1 本分析の問題関心と仮説 4.3.2 分析と解釈 4.3.3 小括 4.4 教育長人事の事例分析 4.4.1 事例分析の概要 4.4.2 分析の対象と方法 4.4.3 事例分析 4.4.4 1990年代以降に自治省出身教育長が減少した要因 4.4.5 事例分析の知見と含意 4.5 本章の結論と示唆 |
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第5章 地方教育行政の影響力構造 | |
5.1 本章の目的と概要 5.2 首長サーベイ・データの分析 5.2.1 調査の概要と目的 5.2.2 フェイスシート 5.2.3 自治体の行政・政策全般に関する認識 5.2.4 自治体の教育行政・教育政策に関する認識 5.2.5 首長と教育委員・教育長との関係 5.2.6 任命承認制廃止による変化 5.3 結論 |
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第6章 地方教育行政の制度選択 | |
6.1 本章の目的と概要 6.2 本章の分析枠組と仮説 6.2.1 分析枠組 6.2.2 地方政府における制度選択の規定要因:3つの可能性 6.2.3 本書の仮説 6.3 首長サーベイ・データの分析 6.3.1 首長調査の概要 6.3.2 教育委員会存廃の規定要因 6.3.3 教育委員会制度に対する評価とその規定要因 6.4 小括 4.5 地方政治の時系列変化 6.5.1 知事選挙および知事―議会関係の実態と変容 6.5.2 京都府の事例 6.5.3 考察 6.6 本章の結論と含意 |
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終章 結論と含意 | |
終.1 本書での知見 終.2 本書の含意 終.3 今後の課題 |
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あとがき | |
引用文献 | |
(資料)質問票 | |
英文要旨 | |
索引 |