『東ドイツ(DDR)の実像 独裁と抵抗』
英題:The Real World of East Germany: Dictatorship and Resistance
A5判336頁定価:本体4000円+税 ISBN978-4-8332-2428-4 C3022
2010年5月18日発行
著者紹介
近藤 潤三(こんどう じゅんぞう)
1948年 名古屋市生まれ
1970年 京都大学法学部卒業
現在 愛知教育大学教授
著書
『統一ドイツの変容:心の壁・政治倦厭・治安』1998年,木鐸社
『統一ドイツの外国人問題:外来民問題の文脈で』2002年,木鐸社
『統一ドイツの政治的展開』2004年,木鐸社
『移民国としてのドイツ:社会統合と平行社会のゆくえ』2007年10月,木鐸社
内容紹介
ドイツ統一から20年,本書は消滅した東ドイツについて,その暗部を中心に据え,様々なトピックを切り口に検討する。その際にDDRで生きた普通の市民にスポットライトを当て,その行動に密着する視点からDDRに分析のメスを入れる。1990年代後半から使われるようになった「オスタルギー」の感情を巡るドイツの論争も紹介し,全体主義と社会主義についても再考を迫る。
目次 | |
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序章 DDR研究の現在と本書の主題 | |
1.本書の主題 2.本書の構成 3.本書の視座と接近方法 4.本書の意義 |
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第1章 ベルリンの壁・ドイツ内部国境の越境者問題:2007年8月の発砲命令書論議に即して | |
1.はじめに 2.2007年8月の発砲命令書問題 3.シュタージ問題とビルトラー庁 4.壁と内部国境での犠牲者 5.結び |
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第2章 ベルリンの壁の犠牲者:最初と最後のケース | |
1.論議の中の犠牲者 2.クリス・ギュフロイ 3.ギュンター・リトフィン 4.その他の犠牲者と責任追及 5.若干の考察:結びに代えて |
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第3章 1950年代初期のDDRの「政治犯」:二つの事例 | |
1.シュタージと「政治犯」 2.ハンス=エーバーハルト・ツァーンの場合 3.ヨハン・ムラスとエルンスト・ヴィルヘルムの場合 4.政治犯と「くぼみのある社会」 5.二つの問題点と今後の課題:結びに代えて |
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第4章 DDR初期の抵抗運動:三つのケース | |
1.はじめに 2.DDR初期の政治的暴力 3.アルテンブルク・サークル 4.ヴェルダウ・サークル 5.アイゼンベルク・サークル 6.結び |
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第5章1950年代のシュタージ拉致・殺人事件:リンゼとビアレクの場合 | |
1.はじめに 2.ヴァルター・リンゼ 3.ローベルト・ビアレク 4.シュタージ拉致・殺害事件に関する若干の考察 |
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第6章 DDR最後の「政治犯」 | |
1.はじめに 2.ヘードリッヒとシュタージ 3.「最後の虜囚」の注目点 4.シュタージ文書法改正問題 |
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第7章 マークス・ヴォルフとドイツ現代史 | |
1.ヴォルフへの関心 2.ソ連亡命ドイツ人家族からDDRスパイのリーダーへ 3.転身の挫折から刑事被告人へ 4.ヴォルフとドイツ現代史 5.ヴォルフとビアマン 6.結び |
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第8章 DDRにおける外国人労働者と外国人政策:東ドイツ地域の反外国人感情との関連で | |
1.はじめに 2.DDRの外国人問題に関する留意点 3.外国人労働者導入の経過と背景 4.労働現場の外国人労働者 5.社会的隔離の中の外国人労働者 6.外国人労働者の動機と法的地位 7.DDRにおける排外的感情 8.統一後のDDR外国人労働者 |
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終章 論争の中の東ドイツ | |
1.浸透するオスタルギー 2.2009年の「不法国家」論争 3.DDR研究をめぐる諸問題 |
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あとがき | |
索引 |