『裁判の正義』
英題:Justice in Robes , Cambridge, Mass.: The Belknap Press of Harvard UP., 2006
A5判380頁 ISBN978-4-8332-2416-1 C3032 定価:4500円+税
2009年7月27日刊行
著者紹介
<著者>
Ronald Dworkin(ロナルド・ドゥウォーキン)
 1931年生まれ
 ハーヴァード,オックスフォード両大学卒業
 現在 ニューヨーク大学フランク・ヘンリー・ソマー法学及び哲学教授
 著書多数,主要著作の邦訳がある
<翻訳>
宇佐美 誠(うさみ まこと)
 名古屋大学法学研究科前期博士課程修了博士(法学)
 現在 東京工業大学社会理工学研究科教授
 『公共的決定としての法:法実践の解釈の試み』(木鐸社)
 『決定』社会科学の理論とモデル4(東大出版会)他
内容紹介
 論争を通じた発展を特徴とする法哲学において,討議の1つの中心点を30年間以上も占め続けてきた理論家が,ロナルド・ドゥウォーキンである。H・L・A・ハートの法実証主義への根底的批判によって一躍その名を馳せた彼は,その後もロバート・ボークらの原意主義やリチャード・ポズナーの富の最大化論に対して,鋭角的批判と代替理論の提示を重ねてきた。そして,法哲学界の第一人者となったドゥウォーキン自身が,今度は数多くの研究者らによって批判の標的とされ,学問的論議の焦点であり続けている。
 このように多角的論争を通じて法哲学・政治哲学の発展に大きく貢献してきた彼が,主要な論敵たちに次々に新たな一撃を加えることで,自説の擁護と深化を図っているのが,本書である。批判的検討の対象には,ハートとポズナーに加えて,アイザイア・バーリン,ジョゼフ・ラズ,ジュールズ・コールマン,キャス・サンスティーン,アントニン・スカリア,リチャード・ローティが含まれる。最終章ではジョン・ロールズを法哲学的に考察する。これらの検討・考察を通じて,法的推論での道徳の位置という中心論題の他,法理論の性格と可能性,諸価値の相互関係,憲法解釈の方法などの重要論点が鮮やかに解明されている。
| 目次 | |
|---|---|
| 日本語版への序文 | |
| 序論 法と道徳 | |
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 ありうる交差の短い目録 ソレンソンの事案 意味論的段階 法理学的段階 学理的段階 裁決的段階 法的プラグマティズム 道徳的多元論 政治的な学理的実証主義 分析的な学理的実証主義 法哲学 最後の提案  | 
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| 第1章 プラグマティズムと法 | |
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 新プラグマティズム 正解の寄せ集め フィッシュと実践の微妙さ  | 
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| 第2章 理論をたたえて | |
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 序論 埋め込み的見解 ヘラクレスとミネルウァ シカゴ学派 要約:理論を擁護して  | 
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| 第3章 ダーウィンの新手の勇猛な飼い犬 | |
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 切迫した問い 道徳の独立性 「道徳理論」とは何か 「強い」テーゼ 「弱い」テーゼ 新プラグマティズム 補論:プラグマティズムとブッシュ対ゴア事件  | 
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| 第4章 道徳的多元論 | |
| 第5章 原意主義と忠誠 | |
| 第6章 ハートの補遺と政治哲学の要点 | |
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 アルキメデス主義 政治的概念 法 リーガリティという価値  | 
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| 第7章 30年間も続いて | |
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 序論 ピックウィック流の風変わりな実証主義 プトレマイオス流の天動説的実証主義 実証主義と偏狭心 補論:個人的特権で述べたい論点  | 
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| 第8章 法の諸概念 | |
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 意味論の毒牙 ドゥウォーキンの誤謬 法の諸概念についてのラズの見解 学理的概念と分類学的法概念  | 
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| 第9章 ロールズと法 | |
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 法哲学者としてのロールズ 法哲学の本性 法とは何か 法的推論への制約 立憲主義 真理と客観性 告白  | 
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| 原注/訳注/初出 | |
| 訳者あとがき | |
| 索引 | |
