『地方分権時代の自治体官僚』
英題:Policy Performance and Organizational Behaviors of Bureaucrat in Local Government
A5判224頁定価:本体4000円+税 ISBN978-4-8332-2413-0 C3031 2009年2月6日刊行
著者紹介
金 宗郁(きむ じょんうく)
1969年 韓国ソウル生まれ
2003年 慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程政治学専攻単位取得退学
現在 香川大学法学部准教授
博士(法学)
著書 『地方分権時代の市民社会』(共著)慶應義塾大学出版会(2008)
内容紹介
社会の多様化に伴う複雑な問題は,「地方分権時代」をもたらした。自治体間の政策競争が現実となりつつある今日,政策決定過程における官僚の行動が,どのように自治体の政策パーフォーマンスに影響を与えているかについて,彼らの規範意識に焦点を当て社会学的新制度論の文化・認知的アプローチを取り入れ計量的に解明する。
目次 | |
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第1章 はじめに | |
第1節 地方分権時代の現状と課題 1.中央・地方の財政悪化 2.第一次分権改革:地方分権一括法の施行 3.第二次分権改革:三位一体改革 第2節 本書の目的と構成 1.本書の目的 1-1 地方自治における多様性:自治体間の政策競争 1-2 分権時代における自治体の政策バリエーション 1-3 政策バリエーションに対する分析視点 2.本書の構成 3.データの説明 |
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第2章 理論的背景と分析枠組み | |
第1節 政策決定論からのアプローチ 1.地域社会の権力構造論(CPS) 2.政策決定要因論 3.ブラック・ボックスに対する論点提供 第2節 社会学的新制度論からのアプローチ:組織と環境 1.マイヤーとローワンの「神話と儀式」 2.ディマジオとパウエルの「同型化」 3.同型化理論の成果 3-1 制度選択の論理:文化・認知的アプローチ 3-2 制度的環境 4.同型化理論の限界-フィールド内のバリエーション 4-1 ミクロ・レベルの行為者 4-2 準マクロ・レベルの環境 4-3 文化における規範的な側面 第3節 分析枠組み 1.自治体を取り巻く制度的環境 1-1 NPM-行政ディレンマに対する挑戦 1-2 日本の自治体におけるNPM 2.組織の意思決定における個人行動と組織行動 2-1 サイモンの合理性と「限定された合理性」 2-2 組織の意思決定における「決定前提」 2-3 サイモンの価値前提による手がかり 3.個人行動と組織行動の媒介体としての組織規範 3-1 組織規範の定義 3-2 組織文化との関係 3-3 組織規範の機能 4.分析枠組み |
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第3章 自治体における組織規範 | |
第1節 組織規範の内容:行政のあり方 第3節 自治体における組織規範の存在:組織レベル |
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第4章 自治体官僚と組織規範 | |
第1節 はじめに 第2節 公共選択論における官僚行動 1.政府支出における拡大要因 2.本人-代理人理論 3.官僚の予算行動と情報公開制度 3-1 自治体における単独事業費 3-2 自治体における情報公開制度 3-3 実証分析 第3節 行政統制における内部統制としての組織規範 1.従来の行政統制から検討 2.官僚の責任行動:行政責任論からの検討 3.官僚の責任行動と組織規範 第4節 組織文化と組織規範 1.組織文化の下位レベルとしての組織規範 2.職員の責任性に対する組織文化と組織規範 第5節 組織成果と組織規範 |
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第5章 自治体の政策パフォーマンスと組織規範(都道府県レベルの分析) | |
第1節 はじめに 第2節 アクターの評価と条例制定 第3節 都道府県の政策バリエーションと組織規範:条例制定の規定要因 第4節 職員の主観的評価と組織規範,責任行動 |
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第6章 自治体の政策パフォーマンスと組織規範(市レベルの分析) | |
第1節 はじめに 第2節 変数説明と仮説設定 1.環境要因 2.市長要因 3.議会要因 4.組織規範要因 第3節 実証分析 第4節 市長の改革志向 |
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第7章 組織規範の形成・促進要因 | |
第1節 はじめに 第2節 組織規範の形成・促進要因 第3節 組織規範の形成・促進要因に対する実証分析 1. 階層線形モデル 2. 財政・組織規模要因 3. 地域社会要因 4. 議会要因 5. 知事要因 |
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おわりに | |
あとがき | |
アブストラクト | |
引用・参考文献 | |
索引 |