木鐸社

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『通貨金融危機の歴史的起源:韓国,タイ,メキシコにおける金融システムの経路依存性』

英題:Historical Origins of Financial Crises: Path Dependence of Financial Systems in Korea, Thailand and Mexico
A5判310頁 定価:本体4500円+税 ISBN978-4-8332-2423-9 C3033 12月25日刊行

著者紹介

岡部 恭宜(おかべ やすのぶ)
1966年 京都市生まれ
1989年 同志社大学法学部卒業
1988-1998年 外務省勤務
2006-2007年 メキシコ・経済研究教育センター国際学部およびタイ・チュラロンコン大学にて客員研究員
2008年 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了 博士(学術)
2010年5月より JICA研究所 研究員

内容紹介

 本研究の目的は,金融に関する政府と企業と金融機関の関係を歴史的に分析することによって,韓国,タイ,メキシコにおける通貨金融危機および金融再建の違いを説明することにある。本研究は,経路依存性アプローチによって次のように主張する。すなわち,通貨金融危機には歴史的起源があり,その起源とは開発主義時代の初めに採用された金融システム(制度)にある。そして,各国で選択された異なる金融システムが独自の経路を辿って発展した結果,国毎に異なった過程で危機が発生し,さらには金融再建策のアプローチと結果にも違いが生じたのである。

目次
第一部 問題設定と分析枠組み
第1章 序論―通貨金融危機と金融再建の多様性
第1節 問題設定
第2節 通貨金融危機と金融再建に関する先行研究
第3節 本研究の主張と構成
 第1項 経路依存性アプローチと仮説/第2項 本研究の構成
第2章 経路依存性の分析枠組み
第1節 金融システムの発展経路
 第1項 初期条件
 第2項 決定的分岐点
 第3項 制度の持続
 第4項 制度の変化
 第5項 制度の社会的帰結
第2節 アクターの合理性
 第1項 企業
 第2項 金融機関
 第3項 政府
小 括
第二部 金融システムの成立と発展経路
第3章 金融システム,アクター,初期条件
第1節 金融システムとアクター
 第1項 韓国―「企業還元型金融システム」
 第2項 タイ―「銀行還元型金融システム」
 第3項 メキシコ―「政府吸収型金融システム」
第2節 初期条件
 第1項 共通の初期条件―工業化のタイミングと段階,「強い国家」
 第2項 異なる初期条件―国家・社会関係,過去の遺産
小 括
第4章 金融システムの成立―決定的分岐点
第1節 朴正煕政権における「企業還元型金融システム」の成立
第2節 サリット首相と「銀行還元型金融システム」
第3節 ロペス・マテオス政権と「政府吸収型金融システム」
小 括
第5章 金融システムの収穫逓増―制度の持続
第1節 企業還元型金融システムの発展と「漢江の奇跡」
第2節 銀行還元型金融システムの持続と経済成長
第3節 政府吸収型金融システム下での「安定的発展」と「分配的発展」の時代
 第1項 「安定的発展」時代(1959-1970年)
 第2項 「分配的発展」時代(1971-1982年) 小 括
第6章 金融の自由化―制度の内生的変化
第1節 韓国の金融自由化
第2節 タイの金融自由化
第3節 メキシコの金融自由化
 第1項 商業銀行の国有化
 第2項 金融自由化
小 括
第三部 通貨金融危機と金融再建
第7章 通貨金融危機の発生―制度の社会的帰結
第1節 韓国―「企業・過剰設備投資型危機」
第2節 タイ―「金融機関・資産バブル型危機」
第3節 メキシコ―「政府・ポートフォリオ投資型危機」
小 括
第8章 金融再建への着手―もう一つの社会的帰結
第1節 韓国の政府主導による迅速な金融再建
 第1項 金融再建の内容と経緯
 第2項 企業還元型金融システムの「遺制」
第2節 タイの市場主導的で漸進的な金融再建
 第1項 金融再建の内容と経緯
 第2項 銀行還元型金融システムの「遺制」
第3節 メキシコの政府主導による市場志向の強い金融再建
 第1項 金融再建の内容と経緯
 第2項 政府吸収型金融システムの「弊害」による思想転換 小 括
第9章 結論と含意
第1節 金融システムの歴史の流れ
第2節 含意と課題
引用文献一覧
あとがき
アブストラクト
索引

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