木鐸社

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『立法の制度と過程』

英題:Legislative Institutions and Process
A5判232頁定価:本体3500円+税 ISBN978-4-8332-2389-8 C3031
2007年2月28日刊行

著者紹介

福元 健太郎(ふくもと けんたろう)
1972年 生まれ
1995年 東京大学法学部卒業
東京大学法学部助手,学習院大学法学部専任講師,同助教授,ハーヴァード大学客員研究員を経て学習院大学法学部教授(4月より)。

著書
『日本の国会政治 全政府立法の分析』東京大学出版会,2000
『日本政治 変動の30年:政治家・官僚・団体調査に見る構造変容』共著,東洋経済新報社,2006)
『アクセス 日本政治論』(共著)日本経済評論社,2003 他

内容紹介

 本書は,「制度は過程に影響するが,制度設計者が意図した通りに機能するとは限らない」 ということを,政府法案提出手続,二院制,定足数を例として論じる。繰り返される国会改革論の多く は制度の趣旨について理念的に論じるのみで,制度から帰結する過程に関する裏付けを欠いているため, 地に足のついた議論になっていない。本書は,議事録検索や情報公開請求などの質的分析だけでなく, 戦後の8090本の政府法案,3025名の国会議員についてのデータを用いて統計分析(簡単な記述統計に始 まって生存分析などの応用的手法まで)やゲーム論などの量的分析をも駆使して,これまでの制度改革 論に対し,実証的な知見を提供する。

目次
序章 制度がもたらす意図せざる過程
1 制度がもたらす過程
2 制度の意図せざる影響
 (1) 事例
 (2) 原因
3 制度と立法過程
 (1) 政治体制と立法過程
 (2) 立法過程における政府・与党・野党
 (3) 立法の下位制度
4 本書の内容
 (1) 立法の制度
 (2) データと分析手法
第1章 政府法案提出手続の蹉跌
はじめに
1 分析枠組
(1)集合行為問題
(2)内閣の統合機能
2 均衡的帰結:現行政府法案閣法提出手続(1961年-現在)
(1)概要:予算関係法案中心主義
(2)分析
3 総力戦における起源(1941-4年)
4 占領軍による質的管理(1945-52年)
(1)「議会に於ける立法手続等の報告に関する件」
(2)事前承認:民生局と外務省による統合の試み
(3)分析
5 戦後の段階的整備(1946-60年)
(1)戦前手続の継続(1946-7年)
(2)内閣官房と次官会議の整備(1948-57年)
(3)提出予定法律案件名調の開始と法制局下審査(1949年)
(4)試行錯誤(1949-54年)
6 予算関係法案中心主義の形成(1954-99年)
(1)プレ現行手続へ(1954-7年)
(2)現行手続の成立(1958-1962年)
(3)現行手続成立後(1963-99年)
(4)臨時国会の提出手続
7 定着理由の理論的考察
(1)選別指標と予算関係法案
(2)国会による法案不成立という選択的制裁
(3)優先法案のシグナルとしての提出期限遵守
(4)シグナリング・ゲームの均衡としての現行手続
(5)予算関係法案中心主義の大蔵省的バイアス
8 予算関係法案中心主義の動揺(2000-5年)
おわりに
第2章 無意味な二院制
はじめに
第1節 議員構成
1 学歴
2 知的専門職
3 在職年数
 (1) 反復終結の生存分析:通算時間の条件付分散修正モデル
 (2) 独立変数
 (3) 分析結果
 (4) 任期と選挙区定数の効果:離散時間モデルと時間依存変数
 (5) シニアな参議院議員,ジュニアな参議院
4 年齢
 (1) 初当選年齢
 (2) 当選後年齢
第2節 法案審議
1 一致度
 (1) 操作化と現状
 (2) 不一致の要因
2 水準
 (1) 議院審議の属性と要因
 (2) 両院の分析
 (3) 後議院の分析
おわりに
補論 生存分析入門
1 離散時間モデル
 (1) 基本
 (2) リスクの時間依存
 (3) 比例ハザード・モデル
 (4) 時間依存変数
 (5) 左側切断
 (6) 右側打ち切り
 (7) 反復終結
2 連続時間モデル
 (1) 離散時間の集計
 (2) 離散時間の短縮
 (3) 危険率の時間依存
 (4) 離散時間モデルとの対応
 (5) 終結時間加速モデル
 (6) 左側切断
 (7) 時間依存変数
 (8) 反復終結
 (9) 連続時間モデルから離散時間モデルへ
第3章 国会対策戦術としての定足数
はじめに
1 議員の欠席
 (1) 与党審査
 (2) 選挙区活動
 (3) 登院・在京しての政治活動
 (4) 本会議と委員会の同時開催
 (5) 連立与党の内紛
 (6) 徹夜審議後の疲弊
2 定足数割れの発覚
 (1) 野党の定足数要求
 (2) 野党の退席
 (3) 与党の定足数要求
3 野党による定足数の政治的指摘
 (1) 日常的に見過ごされている定足数割れ
 (2) 非日常的に政治問題化する定足数割れ
4 与党の対抗戦術
 (1) 委員差し替え(代理出席)
 (2) 議員の狩り出し
 (3) 法規改正
おわりに――出欠公表案
終章 結論
1 本書の要旨
2 制度をすり抜ける与野党
3 制度改革と実証研究
付録 データの紹介
1 政府法案データ:変数の定義と典拠
2 国会議員データ:変数の定義と典拠
3 国会議員データ:基礎統計
 (1) 公務員・労組・教員
 (2) 地方政治家
 (3) その他の前歴・属性
参考文献
謝辞
索引

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