木鐸社

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『移民国としてのドイツ:社会統合と平行社会のゆくえ』

A5判324頁定価:本体3500円+税
ISBN978-4-8332-2395-9 C3032
2007年10月13日刊行

著者紹介

近藤 潤三(こんどう じゅんぞう)
1948年 名古屋市生まれ
1970年 京都大学法学部卒業
現在 愛知教育大学教授
著書
『統一ドイツの変容:心の壁・政治倦厭・治安』1998年,木鐸社
『統一ドイツの外国人問題:外来民問題の文脈で』2002年,木鐸社
『統一ドイツの政治的展開』2004年,木鐸社

内容紹介

 本書は前著『統一ドイツの外国人問題:外来民問題の文脈で』の続編。同じ対象を主題に据えているのに表現が違っているのは,近年のドイツで生起している主要な変化を反映している。移民政策におけるパラダイム転換と呼ぶことができよう。
 本書では現状の把握と変化の分析に主眼がある。第一に,民族的マイノリティを取り上げ,第二に,移民政策に即して実際の政治過程を分析することによってドイツの政治的特質を検証し,同時に二度目の大連立の政治力学を明らかにする。第三は,イスラム主義の脅威やスカーフ着用問題に即して検討する。穏健なスンナ派の多いトルコ系移民が主流だとしても,多数のムスリムが居住しその人口比率が拡大しつつあり,ドイツがイスラムに直面していることに変わりはない。平行社会の形成による社会の分裂が懸念されており,その亀裂の深度と社会統合のゆくえを探った。

目次
序章 移民国ドイツへの接近 - 本書の主題と構成
1. 「外国人」と「移民」
2. 移民政策の転換
3. 移民国ドイツの実態
4. 現代ドイツのイスラム問題
第1部 移民国ドイツの輪郭
第1章 移民の背景を有する人々と国外移住
1. ミクロセンサスの衝撃
2. 移民の背景を有する人々の分類
3. 移民の背景を有する人々の構成と規模
4. ドイツ人の国外移住への関心
5. 国外移住の実態
6. 移民国としての自画像 - 結びに代えて
第2章 現代ドイツの民族的マイノリティ - ひとつの素描
1. 個人的な体験から
2. 民族的マイノリティの輪郭
3. ソルブ人
4. デンマーク人
5. フリース人
6. シンティ・ロマ
7. 民族的マイノリティを巡るヨーロッパ・レベルの動向
8. 終わりに
第2部 移民問題の政治過程
第3章 移民法の成立過程
1. はじめに
2. グリーン・カード提唱から移民委員会報告書の提示まで - 第1期
3. 移民法案提出から連邦憲法裁判所での挫折まで - 第2期
4. 移民法の頓挫から成立へ - 第3期
 (1)両院協議会まで
 (2)両院協議会での合意の模索から移民法の成立へ
 (3)トップ会談と移民法の成立
5. 移民法の要点
6. 政治過程の特質
7. 結び
第4章 統合サミットの政治過程 - 移民政策の新局面
1. はじめに
2. サミットの提起とその背景
3. サミット開催まで - 主要政党の接近
4. サミット参加者を巡る論議
5. サミットでの合意とその評価
6. サミットの政治過程の特徴と問題点
7. 結 び
第3部 イスラムに直面するドイツ
第5章 現代ドイツのイスラム組織とイスラム主義問題 - トルコ系移民社会を例にして
1. はじめに
2. トルコ系移民社会の形成とドイツ社会
 (1)トルコ系移民社会の形成とイスラムの公然化
 (2)ドイツ社会のイスラムに対する姿勢
3. イスラムの組織化
 (1)トルコ本国のイスラム
 (2)移民社会におけるイスラムの組織化
 (3)主要なイスラム組織
 (4)多宗教社会の現実
4. イスラム主義の輪郭と組織
 (1)イスラム主義の輪郭
 (2)主要なイスラム主義組織
5. イスラム主義の問題性 - 結びに代えて
第6章 ドイツにおけるスカーフ問題
1. ドイツにおけるイスラム問題
2. 新たなスカーフ問題
3. スカーフ問題の争点
4. 「スカーフの下の頭は何を考えているのか」 - スカーフ着用に関する調査
5. ムスリムとしての覚醒とスカーフ問題
6. 結びに代えて
あとがき
索引

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