『総選挙の得票分析:1958-2005』
英題:Japanese General Elections 1958-2005
A5判230頁定価:本体3500円+税 ISBN9784-8332-2394-2 C3031
2007年9月30日刊行
著者紹介
水崎 節文(みずさき ときふみ)
1932年 旧朝鮮京城府に生れる
1955年 九州大学法学部卒業
現在 岐阜大学名誉教授
論文 「得票データからみた並立制のメカニズム」(共著)『選挙研究』13号,木鐸社,1998年 他
森 裕城(もり ひろき)
1971年 広島県に生れる
2000年 筑波大学大学院博士課程国際政治経済学研究科修了。博士(国際政治経済学)
現在 同志社大学法学部准教授
著書 『日本社会党の研究 路線転換の政治過程』木鐸社,2001年 他
内容紹介
本書は,55年体制成立以降の衆議院総選挙に焦点を当て,各政党およびその候補者の集票構造の特性を,全国の市区町村レベルにまで細分化された得票集計データを用いて分析したものである。本書の特色は,現在選挙研究の主流となっているサーベイ・データの分析ではなく,徹底したアグリゲート・データの分析によって,日本の選挙政治の把握を志向している点にある。
中選挙区制における地域偏重的な得票構造が,自民党政権の継続にどの程度貢献したかという問題であり,著者らが開発した候補者レベルの集票力を示すTK指数,地域偏重的な候補者特性を示すRS指数,地域偏重的な選挙区特性を示すDS指数を駆使して行う。加えて次の2つの問題も扱っている。第1は,新たに導入された小選挙区比例代表並立制において,政党・候補者の得票動向はどのような傾向を示しているかという問題,第2は,中選挙区から小選挙区への移行において,中選挙区時代に形成された選挙地盤は,どのように持続・変容したかという問題である。
目次 | |
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序論 総選挙の得票分析:視点と方法 | |
第1節 政党システムの変動 第2節 研究の発想と問題意識 第3節 データ・ベースの作成 第4節 本書の構成 第5節 回顧と謝辞 |
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第1章 55年体制下における選挙変動の概観:中選挙区制における多党化の進展と自民党候補の得票水準 | |
第1節 議会における多党化 (1) 有効政党数/(2) 多党化の推移 第2節 選挙区における多党化 (1) 多党化の地域的偏り/(2) 原55年体制型選挙区の残存 第3節 自民党の選挙実績 (1) 選挙変動の時期区分/(2) 候補者数の変動にみる自民党の合理化 第4節 候補者レベルの集票力 (1) TK指数/(2) TK指数の算出結果 |
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第2章 得票の地域偏重よりみた候補者特性 | |
第1節 RS指数 (1) 得票の地域偏重:単純な想定から/(2) 平均得票率偏差 (3) 相対得票率偏差/(4) RS指数の留意点 第2節 RS指数の計算事例 (1) 個別選挙区の事例:鹿児島3区(定数3)の場合/(2) 一般的傾向 第3節 同一候補者のRS指数の変化 (1) 一般的モデル/(2) 田中角栄,山中貞則の場合 第4節 自民党政権の継続と地域偏重的得票構造 (1)55年体制下におけるRS指数の推移/ (2)地域偏重的得票構造と自民党政権の継続 |
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第3章 得票の地域偏重よりみた選挙区特性 | |
第1節 DS指数の開発 (1)想定上の選挙区集計表/ (2)地域単位の得票偏重度の測定:レイ破片化指数の応用 (3)市町村の得票偏重指数の平均値/ (4)市町村と選挙区との地域偏重指数の差/ (5)選挙区特性としての逸脱比(DS指数) 第2節 実際の選挙区への適用 (1)異なる選挙区でDvの値はほぼ等しいがdvの値がかけ離れている場合/ (2)異なる選挙区でdvの値はほぼ等しいがDvの値がかけ離れている場合/ (3)Dvの値は高いがDS指数が低い選挙区/ (4)自民党候補4人以上の選挙区/ (5)自民党候補3人の選挙区/(6)都市型選挙区 第3節 地域集票構造の変動とその要因 (1)DS指数の推移/(2)候補者の減少,特に自民党公認候補の限定 (3)衆議院定数是正(定数増・選挙区分割・定数減)の影響/ (4)野党の多党化の影響 第4節 保守安定選挙区とDS指数 (1)DS指数と都市型-農村型で示される選挙区特性との関係/ (2)保守安定選挙区の集票特性 |
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第4章 中選挙区制における「すみわけ」の規定要因 | |
第1節 選挙区特性 (1)選挙制度/(2)「都市-農村」特性/(3)有権者分布/(4)生活圏 第2節 候補者特性 (1)所属政党/(2)候補者の選挙戦略 第3節 第40回総選挙(1993年)における地域票変動 (1)選挙の結果/(2)連続立候補者の動向:TK指数/ (3)連続立候補者の動向:RS指数 |
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第5章 小選挙区比例代表並立制における政党・候補者の得票動向 | |
第1節 並立する2つの選挙における結果の乖離 第2節 投票率の動向と選挙結果 (1)浮動票効果仮説と逆効果仮説/(2)2000年総選挙と2003年総選挙の相違 第3節 比例代表部分の分析 (1)政党の基礎的集票力/(2)連動効果/(3)無効票の動向 第4節 小選挙区部分の分析 (1)有権者規模別にみた集票力/(2)接戦度の分析/(3)連続立候補者の動向 第5節 選挙協力と選挙結果 (1)小選挙区における自民党と公明党の選挙協力/ (2)公明党推薦の有無と自民党候補の成績 第6節 小括 |
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第6章 小選挙区における地域票の動向 | |
第1節 小選挙区制導入にともなう集票領域の連続と変化 (1)選挙区形成のパターン/(2)選挙区再編と地盤の継続 第2節 地盤の競合と自民党の対応 (1)自民党が直面した問題/(2)コスタリカ方式 第3節 小選挙区制導入後の区割変更 (1)2002年の区割変更/(2)小選挙区における得票の地域偏重度 第4節 市町村合併と小選挙区の区割 (1)選挙区の領域と市町村の領域/(2)平成の大合併が起こした問題 |
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第7章 2005年総選挙と政党システム | |
第1節 自民党勝利・民主党敗北の構図 第2節 得票変動の分析 (1)投票率上昇の効果/(2)有権者規模別にみた得票変動/ (3)計算結果に対する疑問1:市町村合併の影響/ (4)計算結果に対する疑問2:自民党分裂選挙区の影響 第3節 小選挙区における議席変動 (1)連続立候補者にみる得票変動/(2)民主党候補者の大量落選/ (3)保守分裂選挙区の動向 第4節 選挙制度への対応:自民党と民主党の現状 (1)予測されていた自民党の変化/(2)自民党の脆弱性/ (3)民主党が直面している問題 第5節 総括と展望 |
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補 論 一人区における自民党の完敗:1989年参議院選挙集計データの解析から | |
第1節 はじめに 第2節 集計データにあらわれた大敗の特質 (1)投票率と絶対・相対得票率/(2)得票率と議席数 第3節 一人区における投票率変動効果 第4節 地域票変動の基本モデル (1)Aグループ/(2)Bグループ/(3)Cグループ 第5節 総括と展望 |
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索引 |