木鐸社

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『合理的な人殺し:犯罪の法と経済学』

〔法と経済学叢書Ⅶ〕
英題:Murder as A Business Decision: An Economic Analysis of Criminal Phenomena, 2002
A5判240頁定価:本体3000円+税 ISBN4-8332-2379-1 C3033 2006年8月10日刊行

著者紹介

<著者>
ゲアリー・E・マルシェ(Gary E.Marche)
現在 オクラホマ州ロジャー・ステーツ大学経済学部助教授
<監訳>
太田 勝造(東大大学院法学政治学研究科教授)
<共訳>
西本 健太郎(国際法)
安藤 馨(法哲学)
森 大輔(法社会学)
劉 芳伶(刑事法)
高橋 脩一(英米法)
米村 幸太郎(法哲学)
村上 裕一(行政学)
濵井 宏之(実定法学)

内容紹介

 本書は刑事法分野,とりわけ殺人について法と経済学の手法を用い分析した研究書。
 もしも犯罪者に,苦痛を避け快楽を求めるという合理性の最低限の前提も成立しないなら,特別予防論はほとんど無意味となり,もしも人々一般に最低限の合理性も成立しないなら,一般予防論は全く無意味となる。
 刑事法分野に法と経済学が適用不可能との主張は,刑罰には犯罪の抑止効果が全くなく,刑事法によって保護法益を守ろうとするのはナンセンス,と論じることに他ならない。FBIの犯罪プロファイルの孕む問題点の指摘を含め,刑事法分野の法と経済学の研究書は日米両国でも比較的乏しく,裨益するところ大きい。

目次
第1部:経済学と犯罪行動の基礎
1.消費者選択の理論
 効用極大化を追求する消費者
  総効用と限界効用
  順序としての効用
 弾力性
2.生産者選択の理論
 消費と生産の共通点
 短期の生産プロセス
 生産関数と費用関数
 最適生産と生産効率性
 長期における生産効率性
 統計と確率の基礎
3.選択の理論と犯罪行動
 消費者選択の理論と犯罪
  最適選択肢としてのスピード違反
  制約条件下での選択と犯罪抑止
 生産者選択と犯罪抑止
 資源の最適レヴェル
 犯罪行動についての経済分析以外の理論
第2部:合理的計算による殺人
4.理論上の分析枠組み
 情報の適切なレヴェル
 合理的計算による殺人の主観的期待効用モデル
 完全情報の効果
 殺人の帰結という事象
 よりシンプルなモデル
  非熟練犯罪者
  熟練犯罪者
  情報状態改善の効果
  完全情報の効果
 主観的期待効用モデルと犯罪組織
5.逮捕確率に対する感受性
 リスク愛好型の殺人犯
  逮捕確率の重要性を示すその他の要因
  リスク愛好型の効用関数と殺人需要曲線
 殺人需要と最適選択肢
 犯罪抑止の生産
6.計画的殺人の特徴
 犯罪類型プロファイリングの必要性
  現状の犯罪プロファイリングの問題点
  犯罪プロファイリングの基礎としての経済学モデルの使用
 モデル構築
  統計上の問題点
  合理的動機に基づく殺人の特定
  意思決定パラメータ変数
 実証的知見と犯罪類型プロファイリング
  逮捕確率ベクトル(p)
  機会費用ベクトル(Y)
  富の増加分ベクトル(G)
 犯罪プロファイリングの含意
7.殺人事件の捜査
 現実の殺人事件捜査
  第一殺人事件の捜査
  第二殺人事件の捜査
  第二殺人事件捜査のその他の問題点
 経済学に基づいた殺人事件の捜査
 その他の考慮要因
8.刑事司法制度による生産
 悪しき刑事政策
 刑事司法資源増強の必要性
  効果最大化のための資源集中
  ヴィンス・フォスター事件
 専門化した資源と訓練
 有罪判決の確率
 その他の効果:更生と無害化
9.技術的効率性を求めて
監訳者あとがき
文献目録
索引

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