木鐸社

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『フィンランド福祉国家の形成:社会サービスと地方分権改革』

英題:Development of the Finnish Welfare State: Social Services and Decentralization Reform
A5判290頁定価:本体5000円+税 ISBN4-8332-2377-5 C3036
2006年6月30日刊行

著者紹介

山田 眞知子(やまだ まちこ)
1949年 東京生まれ
1971年 国際基督教大学教養学部卒業
1972年 フィンランドに移住。
その間フィンランド国立社会福祉保健開発センター客員研究員,同国立研究開発基金バリアフリープロジェクト・コンサルタントを務める
2001年 北大大学院法学研究科博士課程修了 法学博士(公共政策)
現在 浅井学園大学人間福祉学部教授
著書『働き方で地域を変える』公人の友社,2005年 他

内容紹介

 本書は,フィンランドにおける社会サービスの整備とこれらのサービスを享受する市民の権利の確立の軌跡,すべての市民に平等な普遍的なサービス基盤が整備された結果,政府間関係が従来の中央集権から地方分権へと改革されていく歴史過程,さらに,福祉国家形成における公的責任のあり方の変化などの観点から,フィンランド福祉国家の形成過程を明らかにすることを試みたもの。

目次
序章 研究の視角
一 はじめに
二 「権利」概念をめぐる二国間の相違
三 なぜフィンランドなのか
四 研究の課題・対象範囲
五 依拠した先行研究・報告
六 用語法
第一章 北欧型福祉国家と社会サービス理論
第一節 北欧型福祉国家とフィンランド
 1 北欧型福祉国家
 2 フィンランドの社会保障
 3 サービスにおける自治体の役割
第二節 社会サービスをめぐる諸理論
 1 ヨーロッパの社会サービス
 2 北欧の社会サービス
 3 インフォーマルケア,営利的なケア,フォーマルケア
 4 社会サービスと女性
 5 親族介護
 6 財源
 7 社会サービスの量と質(アルバーの理論)
 8 社会サービスにおける利用者の地位(ハーゼンフェルドらの理論)
 9 社会サービスの「顧客」とはなにか
第二章 戦後の復興と福祉国家の形成過程
第一節 福祉国家形成の諸要因
 1 経済成長と社会構造の変容
 2 政党政治の特色と社会政策
 3 政策決定における労働組合の役割
 4 公共セクターの拡大と女性の参加
第二節 社会政策理論の変遷
 1 アルマス・ニエミネンの理論
 2 ペッカ・クーシの理論
 3 ヘイッキ・ヴァリスの理論
 4 ヴェイッコ・ピーライネンの理論
 5 リーッタ・アウヴィネンの理論
第三章 社会保険制度の整備
第一節 国民年金制度
 1 戦前の国民年金制度の問題点
 2 新国民年金法
 3 内容
 4 評価
第二節 失業保険制度
 1 成立の背景
 2 成立過程
 3 評価
第三節 労働年金制度
 1 成立の背景
 2 成立過程
 3 内容
 4 評価
第四節 健康保険制度
 1 成立の背景
 2 成立過程
 3 内容
 4 評価
第四章 公的扶助から社会サービスへの変貌
第一節 福祉計画委員会報告
 1 背景となる時代の状況
 2 福祉計画委員会の設置
 3 委員会報告書の内容
 4 評価
第二節 福祉扶助法の成立
 1 福祉扶助法の内容
 2 福祉扶助の実態
第三節 社会福祉の原則委員会
 1 福祉扶助の限界
 2 「11月運動 」
 3 社会福祉の原則委員会の設置
 4 委員会報告における社会政策の理念
 5 社会福祉行政の問題点と委員会の見解
 6 社会福祉の原則委員会の成果
第四節 その後の社会福祉保健行政の動向
 1 社会保健省と社会福祉庁の誕生
 2 調査研究と計画制度
 3 社会福祉保健分野の行政的分権
第五章 社会福祉保健国庫支出金制度の改革(1984年のVALTAVA改革)
第一節 国庫支出金制度と社会福祉保健事業
 1 国庫支出金制度の展開
 2 社会福祉保健制度の問題点
第二節 戦後の高齢者政策の展開
 1 高齢者福祉委員会
 2 福祉扶助法による高齢者福祉
 3 法案の成立
第三節 VALTAVA改革の成立過程
 1 準備作業の開始
 2 法案作成をめぐる争点
 3 法案の成立
第四節 VALTAVA改革の内容
 1 改革の範囲
 2 改革後の国庫支出金制度
 3 計画制度の導入
 4 社会サービスにおける高齢者
第五節 VALTAVA改革の成果
 1 自治体の社会福祉事業費
 2 社会福祉保健事業の職員数
 3 老人ホーム
 4 ホームサービス
 5 サービスつき住宅
 6 親族介護給付
 7 精神病院ケア
第六章 包括補助金制度導入とその影響(1993年改革)
第一節 1993年改革の目的
第二節 1993年改革の成立過程
 1 改革の背景
 2 ヒルトネン案と改革をめぐる議論
 3 オヤラの作業部会と内閣の原則決定
 4 コルホネンの執行部会
 5 政権交代後のトゥオミストの執行部会
 6 法案の成立
第三節 包括補助金制度の内容
 1 教育文化事業の包括補助金
 2 社会福祉保健事業の包括補助金
 3 一般補助金
 4 税収入是正の補助金
 5 特別国庫補助金
 6 建設・設備費用の補助金
第四節 改革後の社会・保健サービスと不況
 1 1990年代の不況
 2 旧制度との比較と改革後の国の役割
 3 不況期のフィンランド福祉国家と国民の意見
 4 社会サービスにおける顧客の権利
 5 包括補助金制度の見直し
終章 :むすびにかえて
あとがき
参考文献
人名索引

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