『政治的情報と選挙過程』
A5判232頁定価:本体3000円+税 ISBN4-8332-2378-3 C3031
2006年6月17日刊行
著者紹介
境家 史郎(さかいや しろう)
1978年 大阪府生まれ
2002年 東京大学法学部卒業
2004年 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了
現在 カリフォルニア大学バークレー校政治学部Ph.D.プログラム在籍
著書『選挙ポスターの研究』(共著)木鐸社,2002年
論文
「政治的情報と有権者の選挙行動:日本の選挙におけるキャンペーンの効果」『日本政治研究』2-1号,2005年
「現代日本の選挙過程における情報フロー構造」『レヴァイアサン』36号,2005年
内容紹介
本書は,政治過程において諸アクターが供給する政治的情報こそが市民の意 識変化を生む原動力と捉え,その情報の流通構造や機能について考察する。
既存研究に付加するのは,政治情報の「ストック的側面」と「フロー的側面」を明示的に区別し,それぞれの役割と相互の関係について検討している点にある。
第一に,情報ストックの格差構造の動態は,知識の付け加わるプロセスをフロー面の格差構造として捉えることができる。
第二に,ストックとフローの区別により,これらを有権者の持つ「旧情報」の効果と「新情報」の効果として,統一的な視点から捉え,従来個々に研究されてきた政治行動論の諸成果を理論的に統合し,発展させることができる。
本研究の第一義的な目的は,政治行動論に対する純粋に理論的な貢献をなし,さらに現代日本の選挙過程に対する理解が一層深まることを期待する。
目次 | |
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序 | |
第1章 本書の目的と構成 | |
1.1 政治過程における情報と政治的知識 1.2 選挙過程における情報フローの構造と機能 1.3 本書の課題と構成 |
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第2章 情報フロー構造の諸モデル | |
2.1 先行研究の情報フローモデル 2.2 問題点と課題 |
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第3章 選挙過程における情報フロー構造 | |
3.1 情報ルートと情報チャネルの分類 3.3 選挙情報の偏在 3.4 小括 補論 トービットモデルによる推定 |
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第4章 選挙過程におけるインターネット普及の意義 | |
4.1 インターネットと政治をめぐる論点 4.2 インターネット上の情報流通構造に関する理論的考察 4.3 インターネット上における情報接触行動分析 4.4 小括 補論 「情報の選択的接触」に関する考察 |
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第5章 政治的情報と有権者の選挙行動 | |
5.1 選挙情報フローの機能 5.2 方法論的な諸問題 5.3 選挙情報フローの効果 5.4 小括 |
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第6章 政党支持の変動と政治的情報 | |
6.1 政党支持率の変動(2003-2004) 6.2 政党支持率変動に関する既存研究 6.3 支持政党表明の理論 6.4 小括 補論1 イデオロギー,政党支持,政治的情報量 補論2 「政党情報」の流通について |
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第7章 政治的情報と選挙過程 | |
7.1 知見の総括と含意 7.2 結語 |
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参考文献 | |
付録A 選挙情報量に関する統計 | |
付録B 分析に使用した質問項目 | |
付録C 変数のコーディング | |
あとがき | |
索引 |