木鐸社

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『情熱としての愛 親密さのコード化』

ISBN4-8332-2363-5 C3036 2005年4月28日刊行

著者紹介

<著者>
ニクラス・ルーマン
<翻訳>
佐藤 勉(さとう つとむ)
1932年 宮城県生まれ
1962年 東北大学大学院文学研究科博士課程
現在 淑徳大学総合福祉学部教授
著書 『コミュニケーションと社会システム』(編著)恒星社厚生閣,1997年他
村中 知子(むらなか ともこ)
1948年 新潟県生まれ
1996年 東北大学・文学博士
現在 茨城大学人文学部教授
著書 『ルーマン理論の可能性』恒星社厚生閣,1996年他

内容紹介

 本書『情熱としての愛――親密さのコード化』は,数え切れないルーマンの著作のなかでも,特別の地位を占めている。本書が出版されたのはルーマン55歳の1982年である。 『社会構造とゼマンティク』の全4巻をとおしてルーマンは成層的に分化した社会から機能的に分化した社会への移行におけるゼマンティクの問題性について詳細な研究,しかも独自の歴史社会学的考察を行った。
 ルーマンは機能分化を遂げた近代社会を脱中心化と特徴づけている。近代社会ではさまざまな機能ごとに多数のシステム,例えば,経済システム,政治システム,法システム,科学システムなどが併存し,機能システムはそれぞれにそれ相当の自律性を保っていると同時に,そうした自律性を手がかりとして他の機能システムと相互依存の関係にある。自律性を保持しているから相互依存しているともいえるし,相互依存しているから自律性を保持しているともいえる。  近代社会においてひとたび個人性のゼマンティクが定着すると,個人は個人であるという要求を最高の要求として生活を営む。個人的存在であることをますます貫き,個人性のゼマンティクに適合するようなあり方が要求する。このことをルーマンは要求個人主義という言葉で特徴づけている。機能分化を遂げた社会はこうした要求個人主義にみあった社会編制をとることになる。
 このような近代社会では多様な機能システムに個人は千差万別のかたちで参加することができる。しかもなんらかの機能システムに参加すること自体が個人の個人性をいっそう要求するという事態が生じる。それと同時に多数の機能システムと関わるなかでその関わり方がその個人自身によって調整されることが要求されることになる。このことが個人の個人性を前提としていると同時に個人の個人性をいっそう強化する事態を招いている。
 ルーマンの愛のゼマンティクの分析は,ケアにつながるだけではなく,ジェンダー問題の分析にも結びついている。近年,ルーマン理論はジェンダー分析にも適用されるという状況が現代ドイツにおいて顕著になった。そうしたルーマン理論は社会福祉の研究家からも熱い視線を受けている。というのも,ルーマンはいわゆる包摂/排除問題を提起しており,排除された人間がいかにして包摂されるのかが現代の社会福祉のテーマであるからである。そのさい,重要なのは機能システムへの,あるいは機能システムと関わりの深い社会組織への個々人の包摂の問題なのである。この包摂の問題において親密な関係の問題が再び形を変えて現れてくる。(解説抜粋)
 宮廷風恋愛から「情熱としての愛」を経てロマンチックラブに至る愛のゼマンティークについての透徹した分析がここにある。女と男の社会的関係性に照準をあわせた「親密性」とセクシュアリティ。世界各国に翻訳されたルーマンの代表作!!

目次
はじめに
第1章 社会と個人――パーソナルな関係とインパーソナルな関係
第2章 シンボルによって一般化されたコミュニケーション・メディアとしての愛
第3章 コミュニケーション可能性の進化
第4章 愛のゼマンティクの進化
第5章 愛する自由――理想からパラドックスヘ
第6章 情熱――度を越すというレトリックと不安定さの経験
第7章 ギャラントリーから友愛へ
第8章 快楽と愛という主導的な差異
第9章 愛 対 理性
第10章 個人化への道――18世紀における発酵
第11章 セクシュアリティの取り込み
第12章 コミュニケーション不能の発見
第13章 ロマンチックラブ
第14章 愛と結婚――再生産のイデオロギーについて
第15章 現在の問題は何か――問題とオルタナティヴ
第16章 相互浸透のシステムとしての愛
訳者解説 1 村中知子
訳者解説 2 佐藤勉
索引

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