木鐸社

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『パブリシティ権概説』〔第2版〕

A5判・500頁・本体5000円+税 ISBN4-8332-2361-9 C3032
2005年4月6日刊行

著者紹介

内藤 篤(ないとう あつし)
1958年東京生
東大法学部卒業,1985年弁護士登録(第一東京弁護士会)
ニューヨーク大学ロースクール留学,1990年同州弁護士登録
大手法律事務所パートナーを経て,1994年内籐・清水法律事務所設立
現在 青山総合法律事務所に改称
『ハリウッド・パワーゲーム アメリカ映画産業の「法と経済」』1991年,TBSブリタニカ,他
田代 貞之(たしろ さだゆき)
1952年大阪生
千葉大学(法律専攻)卒業後(株)電通入社
1982年より法務部門にて勤務
2000年急逝

内容紹介

 肖像・氏名権は判例が作り出した権利であるが,その権利の本質や射程範囲には不明確な点が多く残されている。本書は最近のメディアの多様化や社会活動の拡大に伴って生ずる様々な肖像権問題を,法実務の側面から体系的に整理・把握し,ガイドライン化を試みたもの。今回その後の判例,資料としてアメリカの法令を加え,理解に資する。

目次
第I部 総論
第1章 パブリシティの権利の基礎構造
1 パブリシティ権の漠然たる把握
2 権利の基礎構造-なぜ権利の基礎構造なのか
3 法的権利・法的利益の性質
4 権利の基本構造への二つのアプローチ
5 我が国の実体法としてのパブリシティ権-アメリカ法とのスタンスの取り方
第2章 作業仮説としての「アイデンティティの権利」
1 上位概念としてのアイデンティティの権利(ID権)
2 人格権とプライバシー権の関係
3 氏名権・肖像権とパブリシティ権の形成
4 法人の人格権――パブリシティ権との関係
5 ID権の一元的構成と二元的構成
第3章 法源論,先占論(総論)
1 問題の所在-既存制定法との抵触関係序説
2 法源論
3 先占論-総論
第4章 先占論(各論)
1 不正競争防止法との抵触関係
2 著作権との抵触関係
3 著作隣接権との抵触関係
第5章 標識法としてのパブリシティ権:顧客吸引力=弱い標識性
1 標識法としてのパブリシティ権
2 顧客吸引力再説
3 顧客吸引力=弱い標識性への道程
4 標識性の根拠?
5 顧客吸引力理論は「破綻」したのか?
第6章 「モノのパブリシティ権」批判
1 「モノのパブリシティ権」とは何か
2 いわゆる「所有権理論」をめぐって
3 「顧客吸引力あるモノ」とパブリシティ権
4 「モノパブ論」批判
第7章 「そっくりさん」論
1 「そっくりさんパブリシティ」の根拠
2 「そっくりさんパブリシティ」各論
第8章 顧客吸引力の濫用?
1 「理力(ザ・フォース)の暗黒面」
2 顧客吸引力の相当な行使と不相当な行使の境界:裁判事例
3 何をもって責任の分岐点と考えるべきか
4 「理力(ザ・フォース)の暗黒面」再び
第II部 各論
第9章 対象物
1 ペルソナ
2 顔
3 氏名
4 身体の一部
5 履歴,その他の個人情報
6 声
7 スタイル
8 モノ
第10章 パブリシティの権利の主体
1 問題の所在
2 非著名人(あるいは非芸能人)とパブリシティの権利
3 パブリシティ権の本人以外による原始取得の可能性
4 モノ・場所の所有者・管理者
5 公人(public figure)ないし政治的人物(political figure)
6 悪人のパブリシティ権
7 グループの諸問題
8 個人の属する集団
9  法人
第11章 パブリシティの権利の存続期間:権利の発生と消滅
1 固定の存続期間
2 消滅自由:絶対的な時間の経過?
3 消滅事由:放棄
4 消滅事由:営利利用ないし管理行為の停止
5 消滅事由:相続人の不存在
第12章 権利の移転・共有・団体管理関係
1 譲渡性
2 相続性
3 パブリシティ権の共有-グループ固有の問題
4 団体管理の諸問題
5 包括的許諾・包括的譲渡
6 将来の権利の譲渡
7 譲渡・許諾の方式
8 対抗関係
第13章 侵害
1 侵害の成立
2 商業性
3 利用の実質性
4 識別性
5 侵害の間接証拠としての「あいさつ」
6 利用の有無-みなし侵害,間接侵害の可能性
第14章 抗弁
1 主張立証責任の問題
2 表現の自由
3 著作権系の抗弁の援用
4 低い顧客吸引力の利用:群集の中の顔
5 偶発的使用(incidental use)
6 権利濫用の法理
第15章 救済
1 差止
2 損害賠償
3 廃棄請求権
4 名誉回復措置
5 水際規制
6 執行
第16章 国際関係
1 外国人のパブリシティの権利
2 パブリシティ権侵害の性質決定
3 本邦人の海外におけるパブリシティの権利の保護
4 並行輸入
第17章 パブリシティの権利と税務
1 源泉徴収を要する報酬・料金等の範囲-内国源泉徴収問題
2 国際課税における源泉徴収問題
3 パブリシティ権侵害訴訟での損害賠償金,和解解決金と税務
第18章 罰則
1 不正競争防止法
2 アイコラに対する名誉毀損罪の適用
3 その他の法律
4 立法論的検討――アメリカにおける刑事罰
付録
ニューヨーク州市民権法 50条,51条
カリフォルニア州民法 3344条,3344.1条

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