木鐸社

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『第Ⅱ巻 現代韓国の市民社会・利益団体:日韓比較による体制移行の研究』

現代世界の市民社会・利益団体研究叢書
ISBN4-8332-2320-1 C3330 A5判・494頁・定価:本体6000円+税
発行:2004年4月20日発行

著者紹介

<総編集>
辻中 豊
現代韓国の市民社会・利益団体研究叢書第Ⅱ巻
<編著>
廉 載鎬(ヨム・ゼホ)
現在 高麗大学校政経大学行政学科教授
辻中 豊
現在 筑波大学社会科学系教授

内容紹介

■韓国社会の民主化は本物か!
 本書は「現代世界の市民社会・利益団体」シリーズの第Ⅱ巻として97年の韓国調査(K-JIGS)データに基づいて現代韓国の市民社会・利益団体の現実を分析し,併せて日本調査データとの比較研究を行った。更に事例研究を加えることで現代韓国の市民社会像を立体的・重層的に捉えている。


目次
第Ⅰ部 導入:政治・社会体制変動と市民社会
第1章 序論(辻中 豊・廉 載鎬)
はじめに 本書の目的と焦点
1 統合空間ダイナミクスモデルからみた韓国
2 言葉の問題
3 韓国JIGS調査時点(1997年末)の意義
4 韓国JIGS調査の概要と日本調査との比較
5 韓国JIGS調査での団体分類
6 本書の構成
第2章 体制変動と市民社会のネットワーク(磯崎 典世)
はじめに
1 韓国の体制変動と国家-社会関係の変化
 1-1 権威主義体制期
 1-2 「民主化宣言」後:体制移行期
2 民主制定着期の国家-社会関係:行政・政党と社会団体間のネットワークの変化
 2-1 大統領中心の改革と市民運動のアドボカシー:金泳三(93-97年)
 2-2 与野党交代とネットワーク再編の試み:金大中(1998-2002)
3 データによる素描
4 結論
第3章 市民社会のイデオロギー変化:1987年を画期として(辻中 豊)
はじめに
1 設立時期と団体イデオロギー分布
2 民主化前後(87年前後)設立年別の団体イデオロギー分布(ソウル)
3 民主化前後(87年前後)設立年別の団体イデオロギーの振れ(ソウル)
4 結論
第4章 団体形成と政治体制の変化:国家コーポラティズムから労働政治を経て「普通」の多元主義へ(辻中 豊・崔 宰栄)
はじめに 1 韓日米比較による概観:民主化前後における団体総量・種類・規模の変容(事業所を持った市民社会組織に関するアグリゲート・データ)
 1-1 団体総量:団体数は文民政権期に爆発的な団体多元化が生じ,ほぼ日米並みに。但し,団体従事者はその後半減
 1-2 種類の変容:国家コーポラティズムの消滅から労働政治をへて多元的様相へ
 1-3 韓国文民政権後(1993-2001)の詳細な分析
 1-4 団体の従業者規模:経済優位コーポラティズム型団体から労働政治,そして普通 の多元的団体へ
2 韓日米独比較による概観:民主化前後における団体設立の変容(JIGSサーベイ調査による市民社会組織データ)
3 団体分類と設立時期
 3-1 政権時期別特徴
 3-2 団体分類別パターンの韓日比較
4 韓国における民主化以前の団体形成と日本の戦前の団体形成
 4-1 合計グラフ:李・朴・全政権期にそれぞれのピーク
 4-2 団体分類ごとのグラフ:政権ごとに特徴
 4-3 日本の戦前のグラフ
5 結論
第5章 社会空間(辻中 豊・河正鳳)
はじめに
1 これまでの社会的次元の政治学的把握
2 韓国経済の急発展
3 産業別人口構成
4 韓国の社会の変容と現状―日本と対比して
5 労働をめぐる諸条件と労働運動の成長と停滞
6 財政規模:中央と地方
7 結論
第6章 政治空間:団体に対する政治活動規制の日韓比較(辻中 豊・河正鳳・足立 研幾)
1 韓国における団体に対する政治活動規制(JIGS韓国調査時点:1997年)
2 韓国における団体に対する政治活動規制(98年以降,現在まで)
3 日本における団体に対する政治活動規制
4 団体に対する一般規制・政治活動規制-日韓比較
第7章 市民社会とニューガバナンス:民主化以後の市民団体の政治化(廉 載鎬(川村 祥生訳))
はじめに 1 韓国の政治的民主化と市民団体の特性
 1-1 市民団体の成長と市民社会化
 1-2 韓国の市民団体の組織的な特性
2 市民団体の政策過程における影響力とニューガバナンス:3種類の事例
 2-1 環境運動連合:東江ダムの事例
 2-2 参与連帯:少額株主運動の事例
 2-3 総選挙市民連帯:「落薦・落選運動」の事例
 2-4 3種類の事例の政策的意味:ニューガバナンスの可能性
3 韓国の市民運動と市民社会化の議論
4 おわりに:市民社会とニューガバナンスの展望
第Ⅱ部 政治過程・構造と市民社会・利益団体―韓日JIGSデータの比較分析
第8章 与党ネットワーク:団体と政党・行政関係の日韓比較(大西 裕)
はじめに
1 与党ネットワークの性格
2 団体の活動地域
 2-1 団体の活動地域
 2-2 団体の政策関心
 2-3 情報源と政治的標的
 2-4 団体―行政関係
 2-5 団体―政党関係
 2-6 小括
3 団体と行政
 3-1 団体-行政関係の協調性
 3-2 情報源
 3-3 具体的な関係
 3-4 小括
4 団体と政党
 4-1 団体の選挙活動
 4-2 政党支持と政党接触
 4-3 行政との関係
5 おわりに
第9章 市民社会と影響力構造(辻中 豊・崔 宰栄)
はじめに
1 これまでの調査分析からみた韓国の「多元主義性」
2 JIGS調査での認知影響力の順位
3 認知影響力の日韓比較
4 影響力評価の主成分分析
5 主成分分析の日韓比較,影響力順位との比較
6 まとめ
第10章 団体の「自己影響力」を規定する諸要因(崔 宰栄・辻中 豊)
はじめに 1 団体の自己影響力
2 分析データの概要
3 分析手法の概要
4 自己影響力と諸要因との関連分析
5 まとめ
第11章 アクター・団体間関係の構造(辻中 豊・崔 宰栄)
はじめに
1 どのアクター・分野の協調度が高いか
2 どのアクターとどのアクターが対立・協調しているか
3 アクター協調・対立から見た主成分分析
5 協調・対立評価の構造と影響力評価での構造との比較
6 まとめ
第12章 団体から見た政策の構造(辻中 豊・崔 宰栄)
はじめに 1 関心の高い政策分野と日韓および地域差
2 政策関心の主成分分析
3 主成分分析結果における日韓の構成の共通点と相違点
4 主成分分析結果と団体の分野
5 まとめ
第Ⅲ部 事例研究
第13章 市民運動と市民団体の理念・組織・行為様式―主要な市民運動団体の現状と課題(趙 大燁(朴 仁京訳))
はじめに
1 理念の平準化とイシューの多様性
1-1 理念の平準化
1-2 運動イシューの多様化
2 競争的組織化と市場的動員化
2-1 市民団体の拡張と巨大組織化
2-2 市場型組織の市場的な動員化
3 市民運動の戦略と行為様式
 3-1 市民運動の戦略と(政策への)影響力の政治
 3-2 非動員的行為様式の拡大
4 結論:集権化された権力構造と政治志向の市民団体
第14章 政府―非政府組織(NGO)間の政策競争と合意形成過程  洪性満(李芝英訳)
はじめに:序論
1 政府とNGOとの競争戦略や協議方式についての理論的考察
 1-1 政府―NGO関係と競争条件
 1-2 政府とNGOの対応戦略
 1-3 政府とNGOとの競争における第3者介入と協議方式
 1-4 研究の分析枠組み
2 政府とNGOとの政策競争と協議方式の形成過程の分析
 2-1 ヨンウォル(東江)ダム事例の概要及び政策競争の条件
 2-2 政府とNGOとの政策競争の対応戦略および行動
 2-3 協議方式の形成及び競争解決の過程
3 結論
第15章 女性運動(金京姫(川村祥生・朴仁京訳))
はじめに
1 韓国の女性運動の成長と歴史
 1-1 女性運動の定義
 1-2 女性運動の成長と歴史
2 80年代の民衆女性運動
3 女性運動論議の転換―“女性の権利”:1990-1992
4 女性的観点の女性運動:1993-1997
 4-1 女性の視点から
 4-2 参加の政治
5 性主流化と経済危機:1998―現在
6 結論
第16章 ほどほどの地方分権:韓国住民運動のラブホテル戦争(大西 裕)
はじめに
1 契機と成果
2 ラブホテルとの戦争:事件の経過
 2-1 準農林地区をめぐって
 2-2 浄化地区をめぐって
 2-3 争点の全国化:問題の解決
3 説明
4 不十分さの勝利
第Ⅳ部 総合的な分析と結論
第17章 市民社会の団体配置構造:数量化Ⅲ類による日韓比較(辻中 豊・崔 宰栄)
はじめに
1 方法
2 データ
3 数量化Ⅲ類による分析結果
 3-1 第Ⅰ軸:政治的関与の軸
 3-2 第Ⅱ軸:政党か行政かの軸
 3-3 第Ⅲ軸:地球化情報志向とローカル(日本:国内モノ)志向の軸
4 全体の変数配置の分析と考察
 4-1 政治関与の積極性と政党・行政志向
 4-2 政治関与の積極性と地球化・情報志向
 4-3 政党・行政志向と地球化・情報志向
5 まとめ
第18章 結論(辻中 豊・廉 載鎬)
はじめに 1 関心の高い政策分野と日韓および地域差
2 政策関心の主成分分析
3 主成分分析結果における日韓の構成の共通点と相違点
4 主成分分析結果と団体の分野
5 まとめ
参考文献
索引

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