木鐸社

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『統一ドイツの政治的展開』

A5判230頁定価:本体2800円+税 ISBN4-8332-2351-1 C3022
2004年3月31日刊行

著者紹介

近藤 潤三(こんどう じゅんぞう)
1948年 名古屋市生れ
1970年 京都大学法学部卒業
1975年 京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得
現在 愛知教育大学教授
1991-94年 外務省専門調査員として在ドイツ連邦共和国日本国大使館勤務
『統一ドイツの変容:心の壁・政治倦厭・治安』木鐸社,1998年
『統一ドイツの外国人問題:外来民問題の文脈で』木鐸社,2002年

内容紹介 鳥瞰の試み

 本書の対象は,統一以降のドイツの政治であり,主要政策の展開に照準を合わせる手法をとる。政権交代にもかかわらず政治の連続性が色濃く存在し,産業立地の衰退につれて政治も手詰まり状態に陥っているが,パフォーマンスで目新しさを誇示する傾向が強まり,華々しい政策論議が行われる割には実効が伴わないケースが増えている。CDUとSPDの間ではしばしば言葉では激しい応酬が展開されるが、政策内容を点検すると違いは小さい。ドイツの政治を特徴づけている重要な要素は民主主義の不足であり,民主主義の赤字が引き続き主要な問題となるのではないか。産業立地の再構築や人口変動への対応など困難で巨大な課題を避けて通れないことを考えれば,現存する政党システムとコンセンサスの政治がどこまで持続しうるかは注目に値する。 

目次
序章 本書の主題とアプローチの方法
第一章 ドイツ統一に向かって
一  DDR市民の大量脱出からベルリンの壁の崩壊へ
二  民主化から統一へ--ベルリンの壁の崩壊から人民議会選挙まで
三  統一の国内的局面
四  統一の国際的局面
五  1990年連邦議会選挙とその結果
第二章 統一後に残された課題
一  基本法改正問題
二  首都問題の決着
三  妊娠中絶問題
四  国家保安省(シュタージ)文書の扱い
第三章 「産業立地」問題の浮上
一  深刻化する失業問題
二  「産業立地」再構築を巡る争点
三  環境政策の停滞
四  治安悪化と犯罪対策
第四章 政権交代とシュレーダーの改革政策
一  コール政権末期の与野党
二  1998年連邦議会選挙と政権交代
三  シュレーダーの改革政策
第五章 東ドイツの経済再建
一  東ドイツ地域の経済再建
二  東西ドイツ間の心の壁
第六章 外国人問題と極右勢力
一  外国人問題とコール政権
二  シュレーダー政権の外国人政策
三  多発する排外暴力と極右勢力
第七章 国際社会の中のドイツ
一  ユーゴスラヴィア解体とドイツ外交
二  国際貢献と連邦軍派遣問題
三  ヨーロッパ統合の進展と対米関係
第八章 周辺国との和解
一  チェコ,ポーランド,強制労働
二  「ドイツのヨーロッパ」か?
第九章 統一ドイツの政治的特徴と問題点
一  政党システムの連続性と政党国家の揺らぎ
二  政党システムの機能不全
三  政治の閉塞と新政策の展開
終章 ドイツが直面する政治課題
あとがき
年表
索引

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