『結婚と離婚の法と経済学』
原題:The Law and Economics of Marriage & Divorce, Cambridge University Press, 2002
A5判・380頁・本体3500円+税 ISBN4-8332-2357-0 C3030
2004年11月28日刊行
著者紹介
<編著>
アントニィ・W・ドゥネス
ハートフォードシャー大学副学部長兼研究教授 ジョージ・メイスン大学ロー・スクール客員教授
ロバート・ローソン
ケンブリッジ大学経済学部教授 キングズ・カレッジ・フェロー
<監訳>
太田 勝造(東京大学大学院法学政治学研究科教授)1.2.5.
『法と社会規範』木鐸社,2002年
『法と経済学の考え方』(共訳)木鐸社,1997年
<翻訳>
飯田 高(飯田 たかし) 7.8.
成蹊大学法学部専任講師 法社会学・法と経済学専攻
佐藤 通生 (さとう みちお)10.
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程 行政学専攻,会計検査院勤務
西本 健太郎 (にしもと けんたろう)6.
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程 国際法専攻 修士研究者養成コース:
国際法
長谷川 貴陽史 (はせがわ きよし)12.
北海道大学法学部専任講師 法社会学専攻 博士:法社会学,都市計画
藤田 政博(藤田 まさひろ) 11.
政策研究大学院大学助教授 法社会学・法心理学専攻
三村 智和 (みむら ともかず)9.
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程 民法専攻 専修コース:
民法,説明義務
森谷 尚 (もりや たかし)4.
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程 比較法専攻 専修コース:
金融機関,マクロ経済学
内容紹介
結婚は,どの程度契約と言えるのであろうか? 結婚が当事者に提供するものは何なのであろうか? 契約としての強制を結婚についても行うにはどのような問題があるのであろうか? そのような強制に失敗した場合どのような問題が生じるのであろうか?
本書において,著者たちは法と経済学の手法を用いて結婚と離婚を分析する。すなわち,家族法における「インセンティヴ(誘因)」の重要な役割に着目して分析する。法制度の設計に欠陥がある場合に惹起される望ましくない諸結果に光を当てる。また,首尾一貫した誠実な行動へのインセンティヴを,家族法は関係者に与えなければならないことを論証する。著者である経済学者や法学者たちが,結婚,同棲,および離婚についての法と経済学の近時の成果を論じる。
本書の章は4つのグループに分類される。第一のグループは結婚というコミットメントを契約として分析する視角からの分析,第二のグループは離婚をめぐる規整の枠組みについての分析,第三のグループは,結婚および結婚類似の関係に関する交渉とコミットメントの問題の分析,そして,最後の第四のグループは,より自由主義的(リベラル)な離婚法の社会的影響についての実証的研究である。
本書の重要で新しい研究は,家族法に関心を持つ法律家,政策担当者,および経済学者にとって非常に興味深い分析と知見を提供する。
目次 | |
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第1章 はじめに(A・W・ドゥネス とロバート・ローソン(訳・太田 勝造)) | |
第2章 結婚:長期的契約(ロイド・コーエン(訳・太田 勝造)) | |
1.結婚と離婚の経済分析 2.なぜ結婚するのか? 特殊結婚関連的[specific]な資産のためである! 3.契約違反の危険 4.リスクの分担:機会主義的(日和見主義的,御都合主義的)行動の削減 5.夫と妻の市場 6.結婚市場における女性の価値喪失 7.契約違反と横取り可能な準レント 8.婚前結婚契約[prenuptial marriage contract] 9.契約違反に対する広報的救済方法 10.結論 |
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第3章 結婚のコミットメントと離婚の法的規整(エリザベス・スコット(全員訳)) | |
1.はじめに 2.なぜ結婚は失敗するのか 3.拘束的コミットメントと結婚の安定性 4.現代法における結婚のコミットメント 5.コミットメント選択肢──改革の見通し 6. 法制度改革への展望:警告的コメント |
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第4章 合意離婚(アレン・M・パークマン(訳・森谷 尚)) | |
1.結婚の成功 2.法的環境 3.望ましい離婚事由 4.結論 |
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第5章 不貞の法と経済学(エリク・ラスムセン(訳・太田 勝造)) | |
1.はじめに 2.モデル 3.制裁 4.不貞についての法の現実 5.終わりのコメント |
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第6章 ルイジアナ州の婚姻契約法:子どものためのものとしての結婚の再生(キャスリン・ショウ・スパーツ(訳・西本 健太郎)) | |
1.はじめに 2.子どものための結婚の強化 3.ルイジアナ州の婚姻契約法の制定 4.婚姻契約法制定の目的とそのための手段 5. 結論 |
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第7章 同棲と結婚(A・W・ドゥネス(訳・飯田 高)) | |
1.はじめに 2.同棲の動向 3.結婚との関わりから見た同棲 4.同棲の最適レヴェル(同棲が最適になる場合) 5.経済状況の変化に対する反応としての同棲 6.司法のインパクト 7.結論 |
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第8章 シグナルとしての結婚(ロバート・ローソン(訳・飯田 高)) | |
1.はじめに 2.契約としての結婚 3.シグナルとしての結婚 4.同棲 5.同性結婚 6.結論 |
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第9章 より良くか,より悪くか?結婚や離婚における交渉は効率的なのか?(マーティン・ゼルダー(訳・三村 智和)) | |
1.結婚形成にむけての交渉 2.婚姻中における交渉 3.離婚をめぐる交渉 4.結論 |
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第10章 力の弱い男と整理整頓できない女:離婚と分業(スティーヴン・L・ノックとマーガレット・F・ブリニグ(訳・佐藤 通生)) | |
1.データと方法 2.分析方法 3.得られた知見 4.考察 |
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第11章 結婚と離婚に対する法制度改革の影響(ダグラス・W・アレン(訳・藤田 政博)) | |
1.はじめに 2.有責主義離婚と破綻主義離婚についての単純な経済分析 3.知見 4.結論 |
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第12章 ヨーロッパ諸国の離婚法,離婚率およびその影響(イアン・スミス(訳・長谷川 貴陽史)) | |
1.はじめに 2.法と離婚 3.離婚法制度と離婚率との対応関係 4.離婚法の改革 5.離婚の自由化とその爆発的急増 6.離婚の経済的影響 7.結論 |
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監訳者あとがき(太田 勝造) | |
索引 |