『選挙制度と政党システム』
A5判・300頁・本体4000円+税 ISBN4-8332-2347-3 C3031
2004年1月15日刊行
著者紹介
川人 貞史(かわと さだふみ)
1952年 富山県生れ
1980年 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位修得退学
1993年 法学博士(東京大学)
現在 東北大学大学院法学研究科教授
『日本の政党政治 1890-1937 議会分析と選挙の数量分析』東大出版会,1992年
『現代の政党と選挙』(共著)有斐閣,2001年
内容紹介
各選挙制度下での政党及び政党間競争のパフォーマンスを分析した諸章からなる。1部は政党再編と米国選挙民の得票行動の全国化の関連を初めて解明,1990年代初めの米国政党再編の現状を分析。2部は1890年以降種々の選挙制度を経験した日本の選挙結果がデュベルジェの法則にどのように適合・逸脱しているか,それは何故かを実証分析。3部は1994年導入された小選挙区比例代表並立制及び政治資金改革などの制度変更が諸アクターにどう影響し制度とアクター間にどんな相互作用が生じているかを実証分析。各論考は発表時,学界の注目を集め研究水準を飛躍的に高めた画期的研究。
目次 | |
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序章 選挙制度と政党システム | |
第1部 アメリカの選挙と政党 | |
第1章 アメリカ連邦下院議員選挙における全国化と政党再編成 | |
1.はじめに 2.全国化の概念 4.投票の選挙区間分散と10年間の分散 6.選挙で働く諸力を分析確定するモデル 7.分析結果―選挙民のコンフィギュレーション 8.分析結果―選挙民の変動 9.結論 付論:ストークスの分散分析モデル | |
第2章 現代アメリカの政党再編成 | |
1.はじめに 2.得票変動の全国化と政党再編成 2-1.両選挙における党派得票率とスウィング 2-2.全国化と政党再編成の分析 3.サーベイ・データの分析 3-1.政党帰属態度の分布 3-2.社会集団と投票 4.スプリット・レベル再編 4-1.分割投票 4-2.下院議員選挙における現職優位 4-3.スプリット・レベル再編の構造 5.結論 |
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第2部 中選挙区制と政治変化 | |
第3章 中選挙区制研究と新制度論 | |
1.はじめに 2.中選挙区制とSNTV 3.研究の焦点 4.候補者間の競争 5.政党への影響 6.選挙結果の比例性 7.SNTVと自民党 8.結論 |
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第4章 中選挙区制における得票率の分布 | |
1.はじめに 2.定数と候補数―制度的要因 2-1.分析の出発点 2-2.定数と有力候補数 3.政党別分析 3-1.定数と有力候補数 3-2.自民党及び社会党の候補得票率の変化 4.都市化と同一政党候補の競合 4-1.都市化と候補得票率 4-2.同一政党候補の競合と候補得票率 5.分散要素分析 5-1.有力候補者得票率の分散要素分析 5-2.選挙区得票率の分散要素分析 6.結論 |
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第5章.90年総選挙とナショナル・スウィング | |
1.はじめに 2.ナショナル・スウィングの分析 2-1.スウィングの概念 2-2.投票率と保守党得票率のナショナル・スウィングの分析 3. ナショナル・スウィング増大の原因 3-1.ナショナル・スウィングと政党再編成 3-2.ナショナル・スウィングをもたらす要因 4.結論 |
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第6章.選挙制度と政党システム―日本における5つの選挙制度の比較分析― | |
1.はじめに 2.選挙制度と政党 3.日本の選挙制度 4.選挙制度の影響 5.比例性プロファイル 6.得票議席関係のアノマリ-の原因の解明 6-1.小選挙区制下の多党システム:1890年代 6-2.小選挙区制下における比例的な選挙結果:1920年総選挙 6-3.中選挙区制下の2大政党システム :1928-1937年 7.結論 |
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第7章.中選挙区制における政党間競争―超ドント比例性と大政党― | |
1.はじめに 2.中選挙区制の比例性 3.大政党が犯した選挙戦上の失敗の分析 3-1.第1党と第2党の選挙成績 3-2.戦前の2大政党システムにおける選挙戦上の失敗の分析 3-3.戦後初期における選挙戦上の失敗の分析 3-4.自民党の1党優位政党システム期における選挙戦上の失敗の分析 4.結論 |
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第3部.小選挙区比例代表並立制における問題 | |
第8章.政治資金と選挙競争 | |
1.はじめに 2.政治資金の構造 3.政治資金と選挙競争の分析データとモデル 3-1.政治資金の特性 3-2.モデルの特定 4.分析結果 5.結論 |
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第9章.選挙協力・戦略投票・政治資金―2000年総選挙の分析― | |
1.はじめに 2.2000年総選挙分析へのアプローチ 3.選挙協力と戦略投票の分析 4.政治資金と選挙競争の分析 5.結論 |
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第10章 2003年総選挙における政党と有権者 | |
1.はじめに 2.改革された政治の諸制度と選挙 3.政党の習熟と新機軸 4.2003年総選挙の結果 5.小選挙区比例代表並立制のメカニズム 6.小選挙区における選挙戦 7.公明党の選挙協力の効果 8.結論 |
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引用文献 | |
索引 | |
あとがき |