『英国の立憲君主政』
原題:The Monarchy and the Constitution, 1995
A5判・400頁・定価:本体5000円+税 ISBN4-8332-2335-X C3022
2003年6月3日発行
著者紹介
<著者>
ヴァーノン・ボグダナー
オックスフォード大学統治制度論教授
<共訳>
笹川 隆太郎
石巻専修大学教授
小室 輝久
明治大学法学部講師
R・ハルバーシュタット
石巻専修大学助教授
内容紹介
本書は近代民主主義国家である英国にあって君主政はどのように機能しているのかという疑問に答えようとするもの。英国が持つ諸制度の中でも君主制は最も深く歴史に根ざした制度であり,この理解が最重要である。日本の天皇制を考える上でも大いに参考になろう。
目次 | |
---|---|
日本語版へのまえがき 謝辞 まえがき 凡例 第1章 立憲君主政の発展 第2章 憲制の基本ルール・その1:王位継承 第3章 憲制の基本ルール・その2:影響力と大権 第4章 首相の任命 第5章 憲制の危機三例 第6章 絶対多数党不在議会と比例代表制 第7章 王室財政 第8章 国王の書記翰長 第9章 国王と教会 第10章 国王とコモンウェルス 第11章 立憲君主政の将来 付録 1.ヘンリ8世以降の国王 2.1782年以降の英国首相 3.1870年以降の国王書記翰長 4.1995年時点のコモンウェルス構成国 5.1900年以後の,国王権限の行使を含む,主要な憲制上の出来事 資料と参考文献撰 訳者あとがき 事項索引・人名索引 |
日本語版へのまえがき
私の著書 The Monarchy and the Constitution が日本語に訳されて出版されることをうれしく思っております。本書が,伝統的君主国から現代的立憲君主国に転換を遂げた日本で格別の興味をもって読まれることを願っております。日本の経験との類似点や比較対照すべき点が多く見つかることでしょう。日本の読者が,現代の状況のもとでは,立憲君主政は,民主政を蝕むのではなく,民主政を支えるのに役立っているのだという私の結論に賛成してくださるものと期待しております。
本書は,英国で1995年に初版が刊行されました。従って,それ以降の展開については述べておりません。しかし,日本の読者は,2002年,英国で催されたエリザベス女王在位50周年の祝賀行事の成功を,もちろん,ご存じのことでしょう。この祝賀行事は,英国における君主政の伝統が極めて根強いものであることを示すと同時に,本書の中心的な主張を裏付けるものであると私は確信しております。
2002年7月
オックスフォード,ブレイズノーズ・カレッジにて
オックスフォード大学統治制度論教授
ヴァーノン・ボグダナー