『近代化と国民統合―イギリス政治の伝統と改革―』
A5判300頁5000円 ISBN4-8332-2346-5 C3022
12月20日発行
著者紹介
清滝 仁志(きよたき ひとし)
1966年北九州市生れ
1997年九州大学大学院法学研究科博士課程修了
1999-2002年日本学術振興会特別研究員
現在 駒沢大学法学部助教授
「政治思想家としてのジョン・ミルトン」『17世紀英文学のポリティクス』所収他
内容紹介
■イギリス政治の伝統と改革
アリストクラシーに基づく〈旧体制〉が1832年の改革を契機に近代的国家体制に移り変わるイギリスの政治社会をデモクラシーと国家統合をめぐる〈知の支配〉の闘争という観点から捉え,アーノルド父子,R・ロウ,カーライル,バジョット,H・セシル,W・テンプルらの思索と提言を,産業化,国教会問題,教育改革等のテーマに即して検討・考察する。
目次 | |
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問題の所在 | |
第一章 「旧体制」の危機-トマス・アーノルドにおける教会と国民統合― | |
第一節 トマス・アーノルドと国民統合 第二節 アイルランド・カトリック問題とプロテスタント国教制 第三節 包括的国教会の建設 |
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第二章 デモクラシーと教育―トマス・アーノルドにおける教育と国民統合― | |
第一節 <知の支配>をめぐる論争 第二節 歴史家トマス・アーノルドの改革論 第三節 教育による精神的支配 |
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第三章 文明とデモクラシー―マシュー・アーノルドにおけるデモクラシーと教養― | |
第一節 マシューにおけるデモクラシーの位置 第二節 イギリスにおけるデモクラシー 第三節 「ミル主義」批判 第四節 「マイアル主義」批判 第五節 マシューにおける政治 |
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第四章 マシュー・アーノルドの教育論争―ロバート・ロウの教育改革をめぐって― | |
第一節 近代国家と制度改革 第二節 ロバート・ロウによる改正教育令 第三節 マシュー・アーノルドによる改正教育令批判 |
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第五章 理想的国家体制の復活―カーライルにおける統治と勤労倫理― | |
第一節 カーライルとその時代 第二節 『フランス革命史』における歴史観 第三節 カーライルと『チャーティズム』 第四節 カーライルにおける勤労倫理 第五節 カーライルの同時代的意義 |
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第5章 分裂議会における閣法の国会提出 | |
1 国会提出法案の取捨選択 2 理論的検討 2.1 本章の仮説 2.2 ゲームによる検討 3 事前準備法案の国会提出 4 特定秘密保護法案の立法過程 5 本章の知見 |
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第六章 伝統的国民統合の再解釈―ウォルター・バジョットとイギリス国家体制― | |
第一節 バジョットと伝統的国家体制像 第二節 神秘的でない伝統的国家体制 第三節 デモクラシーとリーダーシップ 第四節 バジョットの政治思想の持つ意味 |
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第七章 国教会・保守主義・福祉国家 | |
第一節 ヒュー・セシルの『保守主義』と国教会 第二節 福祉国家と国教会共同体―ウィリアム・テンプルの国教会論― |
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おわりに | |
索引 |