木鐸社

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『国民主権と民族自決―第一次大戦中の言説の変化とフランス―』

ISBN4-8332-2340-6 C3022 A5判・330頁・本体5000円+税
2003年10月30日刊行

著者紹介

唐渡 晃弘(からと てるひろ)
1962年 大阪市生れ
1986年 京都大学法学部卒業
 京都大学法学部助手を経て
現在 京都大学大学院法学研究科助教授

内容紹介

■第一次大戦中の言説の変化とフランス
 第一次大戦後,ヨーロッパ大陸には多くの国民国家が「民族自決」原則の下に誕生した。戦後処理と秩序の構築に当った戦勝諸国の各リーダーは「国民」や「民族」をどのように理解していたか,また独立を勝ち取った指導者や敗戦諸国はこれにどう対応したのか,これらに焦点を当て,パリ講和会議の政治過程をフランスの立場を中心に一次史料を踏まえ,活写する。グローバル化により,「民族」,「マイノリティ」,「言語」,「宗教」,「貧困」をめぐり,国民国家のあり方は新たな段階に突入したが,今なお解決の道を見出せない難問に示唆を与える野心作。

目次
はしがき
第一章 国民国家概念の変遷
第一節 国民主権の誕生
 1.国民の起源の探究
 2.フランス革命と国民主権
第二節 国民をめぐる言説の変化
 1.新国家形成を目指す「民族」概念
 2.国家による「国民の創出」
第二章 民族問題とフランス外交
第一節 フランスと中東欧の民族問題
 1.一九世紀のフランスとポーランド
 2.第一次大戦の開始とポーランド
 3.オーストリア=ハンガリー二重帝国と諸民族
第二節 戦況の変化と複雑なフランス外交
 1.三月革命の影響
 2.チェコスロヴァキア独立運動への対応
 3.ポーランド問題への対応
第三章 民族自決原則とその影響
第一節 ウイルソンと新しい理念
 1.ウイルソンと理想主義外交
 2.ウイルソンとボルシェヴィキ
  3.「民族自決」原則
第二節 諸民族の主張とフランスの対応
 1.ブレスト=リトフスク条約の影響
 2.ポーランド人指導者の主張
 3.チェコスロヴァキア人たちの活動
第三節 休戦と民族問題
 1.諸民族に対するフランスの曖昧な政策
 2.戦勝諸国間の関係
 3.休戦とポーランドの領域問題
第四章 講和会議の諸決定
第一節 民族自決原則のフランス領への影響
 1.アルザス・ロレーヌ問題
 2.フランスの不安感とライン左岸の領土問題
第二節 講和会議によるポーランド国境の決定
 1.ポーランドの海へのアクセス
 2.上部(高地)シレジアの帰属問題
第三節 講和会議の限界
 1.ガリツィアをめぐる戦い
 2.ロシアとの国境画定
 3.チェコスロヴァキアの国境問題
第五章 マイノリティの保護と民族自決
 1.歴史的背景とユダヤ人問題
 2.講和会議の決定
 3.保護条約の影響
第六章 講和会議と「民族自決」
 1.フランスと「民族自決」
 2.新たな言説の確立へ
 3.民族自決言説の影響
あとがき
索引

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