『理論とテクノロジーに裏付けられた新しい選挙制度』
46判・200頁・定価:本体2000円+税 2003年10月2日刊行
著者紹介
松本 保美(まつもと やすみ)
1948年生れ
1972年 早稲田大学政経学部卒業
1974年 同大学院経済研究科修士課程修了
1982年 オックスフォード大学Ph.D取得(数理経済学)
現在 早稲田大学政経学部教授
内容紹介
投票に関して,既に明らかになった理論的な結論を紹介することによって,現在の投票制度が如何に奇妙なものとなっているかを指摘・分析するとともに,それにとって代わる投票制度を推奨し,同時に,その実現可能性をコンピュータ・ネットワーク技術の面から検討する。最後に大胆なアイディアを提示して,議論の叩き台とする。
目次 | |
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まえがき | |
序章 現行選挙制度と本書における分析の視点 | |
1.選挙制度は投票方式が命 | |
1.1 問題の多い現在の投票方式 1.1.1 何故一人1票? 1.1.2 1票の重さの不平等 1.1.3 投票率の低下 1.1.4 投票結果の信憑性 1.2 多数決の奇妙な結論 1.2.1 投票の逆理 1.2.2 総得点方式 1.3 票の集計方法いろいろ 1.4 選挙制度改革の狙い 1.4.1 難しい1票の格差是正 1.4.2 投票率低下をどう防ぐか 1.4.3 チェックされない当選者の正統性 1.4.4 将来の選挙制度 1.5 「平等」をどう考えるか 1.5.1 比例的平等と無差別的平等 1.5.2 アローの一般可能性定理 1.5.3 平等観の理想と現実 |
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2. 理想的な投票方式を求めて | |
2.1 首尾一貫した単純多数決の種類 2.1.1 二分型投票方式 2.1.2 エコー型投票方式 2.1.3 敵対型投票方式 2.1.4 単峰型投票方式 2.1.5 単谷型投票方式 2.1.6 二グループ分離型投票方式 2.1.7 タブー型投票方式 2.1.8 理論的かつ実際的な投票方式 2.2 使える投票方式 2.2.1 二分型投票方式と自由な投票 2.2.2 投票権に対する考え方:現行投票方式と二分型投票方式 2.2.3 単峰型投票方式と投票行動 2.3 補論:複数投票権と投票結果の論理的整合性 2.3.1 順位付け投票で当選者を決定できない確率 2.3.2 コンドルセ基準による多数決勝者を保証する投票数 |
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3. 本当の当選者は誰? | |
3.1 民主主義と選挙制度 3.1.1 比例代表制と多数代表制 3.1.2 二分型投票方式:論理的整合性と実用性 3.2 失意の投票者 3.3 一人1票方式と一人複数票方式 3.4 候補者の二項比較 3.5 実例に見る集計結果の奇妙な結論 3.5.1 投票の逆理 3.5.2 単峰型投票方式 3.5.3 泡沫候補の影響力:単峰型投票方式の場合 3.6 二分型投票方式の適用 3.6.1 投票行動の想定 3.6.2 あなどれない泡沫候補の存在 3.6.3 検証:当選者の正統性 3.7 二分型投票方式の薦め |
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4. 小選挙区制はどの程度民意を代表するか | |
4.1 激戦区 4.1.1 当選者の得票率が低い選挙区 4.1.2 候補者乱立の選挙区 a) ケース1 b) ケース2 4.2 圧勝区 4.3 まとめ:二分型投票からみた小選挙区制 |
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5. 選挙は自宅で | |
5.1 電子投票化への動き 5.2 コンピュータ・ネットワーク社会 5.3 電子投票の現状と問題点 5.4 IT技術の現状 5.4.1 テレビ・電話は一人1台時代 5.4.2 一体化するテレビとパソコン 5.4.3 余裕のある回線能力 5.5 在宅投票システム 5.5.1 現在の投票システムとの比較 a) 在宅投票システムのメリット ① 投票率の向上 ② コストの大幅削減 b) 在宅投票システムの問題点 5.5.2 すぐにも可能な在宅投票システム a) 回線負荷 b) ホスト・コンピュータの処理能力と分散型システム 5.6 在宅投票システムの先に見えてくるもの 5.7 在宅投票システムの運用上の問題点と対策 5.8 在宅投票システム実現に向けて |
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6.究極の選挙制度 | |
6.1 選挙は機械的に処理すべき 6.1.1 有権者の投票行動 6.1.2 自治体の投票集計作業 6.1.3 ソフトウェアで格差是正 6.2 自律的選挙制度の特徴と課題 6.2.1 在宅投票システムの特徴と課題 a) システム構築と公職選挙法改正 b) システムの操作性 c) 行政サービスとシステムの汎用性 d) 投票端末の開発と普及 e) 在宅投票システムの普及のために 6.2.2 二分型投票方式の特徴と課題 6.3 まとめ:定数変動型選挙制度の薦め |
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おわりに | |
参考文献 | |
索引 |