『東京裁判の国際関係』
A5判712頁10000円+税 ISBN4-8332-2328-7 C3030 発行:2002年11月20日
著者紹介
日暮 吉延(ひぐらし よしのぶ)
1962年 東京都に生まれる
1986年 立教大学法学部卒業
2000年 政治学博士,学習院大学
現在 鹿児島大学法文学部助教授
論文
「起訴状作成の政治過程」(近代日本研究会編『年報・近代日本研究』第16号,山川出版社,1994年)他
訳書
A・ブラックマン著『東京裁判―もう一つのニュルンベルク』(単独訳,時事通信社,1991年)
監修書
J・ルース著,山田寛訳『スガモ尋問調書』(読売新聞社,1995年)
内容紹介
■国際政治における権力と規範
本書は「国際政治における権力と規範」を分析の基本に据え,米国による大戦後の戦争処罰計画の一環として東京裁判を位置づけるもので,多国間の国際関係を総合的・体系的に分析する国際政治の文脈から,東京裁判を捉え直す。引証基準として,ベルサイユ条約,ニュルンベルク裁判を置き,従来のイデオロギー性を排し,一次資料の綿密・丹念な検討による実証的立論は画期をなすものである。
目次 | |
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序章 問題の所在 | |
第一節 東京裁判論の軌跡 第二節 課題と視角 |
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第一章 国際軍事裁判成立の政治過程 | |
第一節 第一次世界大戦と戦犯処罰構想 一 戦争犯罪の概念 二 ヴェルサイユ条約の戦犯条項 第二節 第二次世界大戦と戦犯処罰構想 一 連合国指導者の声明と外交当局 二 連合国戦争犯罪委員会の思想と行動 第三節 戦時中における合衆国の政策決定 一 1944年秋の論争 二 陸軍省の計画策定 第四節 国際軍事裁判の成立 一 国際交渉の局面 二 国際合意の形成 |
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第二章 対日基本政策の決定過程 | |
第一節 対日基本政策の胎動 一 関係政府と日本問題 二 天皇処遇問題 第二節 対日基本政策の決定 一 合衆国の基本政策 二 英連邦と国際裁判 三 極東委員会の政策決定 第三節 判事任命問題と裁判所構成国の条件 一 合衆国の判検事指名督促 二 インドの判事指名要求 |
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第三章 検察側と弁護側の裁判準備 | |
第一節 起訴状作成の政治過程 一 容疑者逮捕と日本の対応 二 国際検察局の始動 三 各国検察陣の参加 四 起訴状の成立 第二節 弁護側成立の政治過程 一 日本政府と弁護側 二 アメリカ人弁護人 |
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第四章 公判と国際関係 | |
第一節 検察側立証 一 検察側の対立構造 二 公判の長期化 第二節 弁護側反証 一 弁護側の対立構造 二 個人段階 |
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第五章 判事団の権力状況 | |
第一節 判事辞任問題 一 合衆国代表判事の交替 二 裁判初期のインド判事 第二節 判決作成の政治過程 一 判事団の対立構造 二 イギリスの役割 三 多数意見の成立 第三節 パル判決再考 一 パル判決の特質 二 イギリスとインド |
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第六章 判決をめぐる政治力学 | |
第一節 多数判決の構造と反響 一 判決の特質 二 判決の余波 第二節 判決諮問会議と関係政府 一 別個意見と米英の立場 二 諸政府の答申 第三節 合衆国最高裁判所と東京裁判 一 人身保護令状の訴願 二 最高裁判所の結論 |
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第七章 戦犯裁判終結の政治過程 | |
第一節 ニュルンベルク裁判以後を見すえて 一 引照基準としてのドイツ占領政策 二 国際環境の変動と政策転換 第二節 東京裁判以後を見すえて 一 「国際裁判」と「継続裁判」と 二 戦犯裁判終結論の噴出 三 幻影としての「国際」裁判 第三節 極東委員会と戦犯裁判終結 一 「FEC314」と諸政府の利害 二 決定と執行 |
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終章 国際政治における権力と規範 | |
第一節 東京裁判の影響 一 国際軍事裁判成立の諸力 二 戦争抑止の法的効果 三 裁判の心理的効果 |
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資料 | |
被告略歴 | |
参考文献 | |
略語一覧 | |
人名一覧 | |
人名索引 |