『文士と官僚 ドイツ教養官僚の淵源』
A5判468頁定価:本体5000円 ISBN 4-8332-2256-6 C3022
1998年2月25日初版
2002年6月1日第2刷
著者紹介
西村 稔(京都大学教授)
略歴
1947年 滋賀県生まれ
1971年 京都大学法学部卒業
西洋法史専攻
他の著訳書
『知の社会史■近代ドイツの法学と知識社会』(木鐸社,1987年)
F.K.リンガー『読書人の没落』(名古屋大学出版会,1991年)
M.A.マレー『魔女の神』(人文書院,1995年)
内容紹介
■ドイツ教養官僚の淵源
本書の課題は。M.ウェーバーの「教養人(文化人)型」官僚(文士と官僚の結合)から「専門人」型官僚(文士と官僚の対立)へという普遍史的転換を,後期中世から二十世紀初頭までのドイツにおける官僚の歴史を辿り,その諸相を考察する。
その際,ウェーバーのいう「専門能力」ないし「有用なもの」に対する視線,「権威」(社会的威信)という要素,「民衆」との差異と繋がり,「内面」=「個性」の意識と「外面的」=「職業」の独立可能性の関係に特に注目する。
目次 | |
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序 | |
第一部 学識 | |
第1章 学識と官僚 | |
1 学識官僚――権威と業績 2 学識貴族 3 文と武 |
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第2章 詩と官僚 | |
1 人文主義と学識 2 詩と業績 3 バロックの文書官僚 |
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第3章 学識の凋落 | |
1 廷臣 2 学識批判 3 絶対主義官僚 |
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第4章 新学識者 | |
1 学識者概念と学識内容の転換 2 「市民的」実用性 3 「哲学」と実践 |
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第二部 文芸 | |
第5章 知の器 | |
1 啓蒙の結社――私的公共性の成立 2 読書の世紀 3 文芸の興隆 |
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第6章 ヤヌス | |
1 強いられたヤヌス 2 「好きなだけ論議せよ。ただし服従せよ!」 3 「公」と「私」と「秘密」 |
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第7章 官僚と文芸的公共性 | |
1 虚構の法廷 2 立法の法律家と国家権力の代理人 3 文士と官僚の統合 |
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第三部 大衆 | |
第8章 啓蒙とエリート | |
1 「真の啓蒙」と「民衆の啓蒙」 2 啓蒙の蹉跌 3 「官」の論理 |
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第9章 通俗と反俗 | |
1 哲学の反転 2 文芸と民衆 |
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第10章 対決の構図 | |
1 啓蒙主義とロマン主義 2 文芸の構造転換 |
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第四部 教養 | |
第11章 学識者から教養人へ | |
1 伝統・革新・十八世紀 2 脱身分と新身分 3 概念の再転換 |
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第12章 教養官僚から法科官僚へ | |
1 木鐸集団としての官僚 2 法科官僚 3 専門知と教養知 |
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第13章 文士と教養 | |
1 パンと教養 2 新文芸の挑戦 3 未完の対立 |
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あとがき | |
図版出典一覧 | |
索引 |
関連書
西村稔著『知の社会史■近代ドイツの法学と知識社会』
A5判390頁本体価格:4500円(1990年2刷)ISBN 4-8332-2111-X
干からびた法律学の堆積の中に煌く知の断層,科学史・知識社会学的手法を駆使することによって,孤立化した法学史の枠を突き破り,諸科学・諸思想への通路を切り開く。「19世紀法学者の意識や法学界周辺の知的潮流を捉える眼は,鋭く冴えてお,法学ばかりか,むしろ現代社会諸科学一般に向けられている。」(読売新聞評)