『平等とは何か』
原題:Sovereign Virtue:the Theory and Practice of Equality, 2000
発行:2002年10月10日 A5判・640頁
定価:本体6500円+税 ISBN4-8332-2327-9 C3012
著者紹介
<著者>
R. Dworkin(ロナルド・ドゥウォーキン)
<翻訳>
小林 公
大江 洋
高橋 秀治
高橋 文彦
内容紹介
著者が1981~1999年にかけて発表した14篇の論文からなり,現代社会が解決を迫られている「平等問題」について,著者の一般的な平等理論とその具体的な適用が体系的に展開されている。平等論の根本問題は「分配的正義」の脈絡上,人々の「何を」平等にすることかという問題である。ドゥウォーキンの考える「資源の平等」論が他の諸理論との比較・批判的検討によって,最適であることが提示され(Ⅰ部),Ⅱ部では福祉プログラム,選挙資金制限,積極的差別是正措置等具体的問題をめぐり,考察する。
目次 | |
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序 なぜ平等は重要なのか | |
第Ⅰ部 理論篇 | |
第1章 権利の平等 | |
1. 2つの平等論 2. 最初の考察 3. 福利の平等の諸観念 4. 成功理論 5. 喜びの平等 6. 客観的な福利理論 7. 統合論への示唆 8. 高価な嗜好 9. 身体障害 10. 福利主義 |
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第2章 資源の平等 | |
1. 競売 2. 考察すべき課題 3. 運と保険 4. 労働と賃金 5. 不完全就業と保険 6. 掛金としての税金 7. 他の正義理論 |
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第3章 自由の地位 | |
1. 緒論:自由と平等 2. 2つの戦略 3. 自由を競売にかけることができるか 4. 抽象化の原理 5. 他の諸原理 6. 現実世界への帰還 7. 自由と不正 8. 回顧 |
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第4章 政治的平等 | |
1. 民主主義のための2つの戦略 2. 権力の平等とは何か 3. 参加上の価値 4. 分配上の価値 5. 立憲主義と原理 6. 結語 |
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第5章 リベラルな共同体 | |
1. 共同体と民主主義 2. 共同体と配慮 3. 自己利益と共同体 4. 共同体との統合 5. リベラルな共同体 |
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第7章 平等と潜在能力 | |
1. 2つの異論 2. 偶然と選択 3. 中毒者と我々 4. 人間と運 5. 平等と潜在能力 |
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第Ⅱ部 実践篇 | |
第8章 正義と高いヘルスケア費 | |
第9章 正義・保険・運 | |
1. 序論:正義にとって厳しい時代 2. 戦略的問題 3. 保守派の議論 4. おなじみの非連続的な解答 5. 仮想保険事業計画 6. くじ運 7. 運・社会階層・世代 |
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第10章 言論の自由・政治・民主主義の諸次元 | |
1. 序 2. 提案された改革 3. 民主主義とは何か 4. 民主主義と自由な言論 5. 法の記録 6. 真理に向けての議論 7. 提案の再考 8. 結論 |
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第11章 積極的差別是正措置は成功しているか | 第12章 積極的差別是正措置は公正か |
第13章 神を演じる:遺伝子・クローン・運 | |
1. 初めに 2. 診断と予後 3. クローンと遺伝子工学 4. 後記:倫理的個人主義のインパクト |
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訳者あとがき/索引 |
関連書
権利論〔増補版〕
R. Dworkin, Taking Rights Seriously, 1977
R. ドゥウォーキン著 木下毅・小林公・野坂泰司訳
A5判・400頁・4000円(2002年7刷)ISBN4-8332-0220-4 C3032
Ⅰ・Ⅱルールのモデル 企難解な事案 Ⅲ憲法上の事案 Ⅳ正義と権利 Ⅴ権利の尊重 Ⅵ市民的不服従 Ⅶ逆差別 エピローグ
正義,市民的不服従,人種差別などを論じながら,功利主義に対し「平等な尊重と配慮」を受ける自然権の優位を主張する。現代法哲学の代表的名著の邦訳。
権利論 Ⅱ
R. Dworkin, Taking Rights Seriously, 1977
R.ドゥウォーキン著 小林公訳
A5判・250頁・2500円(2001年1月) ISBN4-8332-2299-X C3032
先に訳出刊行した『権利論』の続編。著者への批判に対して反駁した論稿を柱とする形で編まれた権利擁護の社会哲学的細説。
自由の法
■米国憲法の道徳的解釈
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A5判・522頁・6000円(1999年) ISBN4-8332-2280-9
著者の体系的法理論に含まれる純一性の理念を擁護するという主張を,米国社会の様々な現実問題に適用し,国論を二分している個人の基本権をめぐる憲法上の具体的事例と関連付けて論じる。